2005年07月26日

W杯開催中も工事現場だらけ

 ベルリンは例年、夏休み期間に入ると工事が多くなる。通学・通勤ラッシュの影響を最小限に防げるからだ。それでも、今年の夏の工事現場の量は異常に多い。来年夏に行われるサッカー・ワールドカップ(W杯)に間に合わせようとしているからだ。

 工事の影響で現在、列車の一部の路線が通行止めとなっている。臨時バスを使うか、別の線を使って迂回(うかい)するしかない。ドイツでは普通のことと言えるが、工事の情報や乗り換え案内が不十分だ。英語の案内は一切ない。突然、この駅で降りてくださいと言われ、右往左往する人々の姿をよく目にする。

 ドイツ分裂と統一の象徴であるブランデンブルク門周辺の道路は軒並み通行止め。西ベルリン最大の駅前の大通りも工事中。工事はW杯直前に完成するはずだったが、一部はW杯期間にもずれ込む見通しとなった。

 これに加えて、存続をめぐって物議を醸した旧東独共和国宮殿は来年中に解体されることになった。これは、ウンター・デン・リンデン通りを挟んで世界文化遺産の「博物館」の向かい側にある。ベルリンを代表する観光スポットだけに、工事現場は景観を損なってしまう。ドイツ統一から十五年が経過し、大工事も一段落ついたかのように思えたが、ドイツ分裂の“負の遺産”がまだまだ多く残っていることを印象付けている。

 ただ、ベルリナー(ベルリン市民)は工事に慣れきっているようだ。工事現場を眺めるのが好きな人も多いようで、駅や道路でしばらく立ち止まっている。新中央駅には工事に関するインフォメーションがあり、常にたくさんの人々でにぎわっている。

 統一直後、無数のクレーンを見ながら将来に希望を見いだした市民は少なくなかった。未完成で躍動的なベルリンは、魅力の一つだと言える。

(T)

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sekai_no_1 at 15:34│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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