2005年07月30日

中国経済専門家の10年

オーストリアから

 「外国投資額は操作されている可能性があります。通常は実際の額より多めに公表されています」

 中国経済統計の信頼性について問いただした時、中国経済専門家、ウルバン女史はほほ笑みながら答えた。

 旧東欧共産政権時代、共産政権が公表する経済統計は多かれ少なかれ操作されていた。

 「やはりそうですか」

 記者の相槌(あいづち)に力を得たのか、同女史は「好奇心から法輪功の集会に参加したことがありますが、その直後から毎年届く中国ナショナルデーの招待状がしばらく来なくなったんですよ」といった話もしてくれた。

 記者がインタビューを申し込んだ時、女史の受け答えに少々不自然さが感じられた。

 女史は「中国大使館からの人間ではないか」といった疑いを抱いていたのかもしれない。記者が反日デモ問題を取り上げたころから、女史は安心したのか、次第に饒舌(じょうぜつ)となっていった。

 同女史によると、ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)が中国経済の研究に乗り出す時、中国出身者を中国経済担当に充てるかどうかでかなり激しい議論があったという。最終的には「中国人の場合、経済分析が操作される危険性がある」との判断から、女史が担当することになったという。

 「私は中国語を学ぼうとしたのですが、この年では難しいことが分かり、あきらめました」

 中国語学生などの助けを受け、中国政府の経済統計を分析する。

 WIIWは旧東欧共産圏の経済分析で世界的な評価を受けている。そのWIIWが長年蓄えた経験を大国・中国の経済分析に応用している。

 中国経済に取り組んで十年余り。欧州の中国経済専門家として、自信と風格がでてきた。

(O)

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sekai_no_1 at 09:15│Comments(1)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2006年10月31日 23:42
 やはり共産中国は油断なりませんね。ウルバン女史のお考えでは、どれくらい水増しされているものなんですか?

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