2005年08月11日

マルコスは英雄か?

フィリピンから

 多くのスキャンダルで窮地に陥っているアロヨ比大統領が、故マルコス元大統領の英雄墓地への埋葬と引き換えに、マルコス一族の支持を得たとの報道が一部のマスコミによってなされた。

 故マルコス氏は政権を追放されハワイに亡命中に死去したが、不正蓄財や人権侵害などに対する批判から英雄墓地には埋葬されず、遺体は一族所有の邸宅で冷凍保存されている。

 アロヨ大統領はこの取引を否定したが「マルコス元大統領も英雄墓地に埋葬されるべきだ」と、反アロヨに転じたアキノ元大統領への当て付けとも思える発言をしている。

 故マルコス氏の埋葬をめぐっては「第二次大戦で戦った元軍人だから英雄墓地に埋葬されるべきだ」という意見がある一方で、不正蓄財などの不正を理由に反対する意見も根強い。

 比カトリック教会のロサレス大司教は「いかなる方法を用いてもマルコス一族は国民にお金を返却すべきだ」と不正蓄財の追及にクギを刺し、「まだ何も解決されていないのに、われわれはマルコスの罪を忘れようとしている」と、過去を水に流しすぎる国民性を嘆いている。

 また駐比米代理大使のムッソメリ氏もマルコス一族の不正を挙げ「この国では過去半世紀、罪を犯した者が裁かれていない」「あまりに強い許しの感覚が法の支配を妨げている」とフィリピンの国民性に苦言を呈している。

 これらの意見を裏付けるように最近の世論調査では、最も良かった歴代大統領として故マルコス氏が一位になるなど、国民の忘却ぶりが浮き彫りになっている。

 どんな過去も水に流してしまう国民性は美徳であると同時に、国の発展を妨げる元凶にもなっている。

(F)

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sekai_no_1 at 09:19│Comments(0)TrackBack(0)アジア 

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