2005年08月20日

3時間の協議

オーストリアから

 ドナウ川沿いにある国際原子力機関(IAEA)本部でイランの核問題を協議する緊急理事会が九日午後三時から開催された。そして同日午後五時には休会に入った。翌日(十日)午後三時から予定されていた会期再開は突然キャンセル。最終的には十一日午後五時ごろ急遽(きゅうきょ)、会が招集され、英仏独の欧州三国が提出した対イラン非難決議が全会一致で採択されて、三日間の夏のドラマは一応幕を閉じた。


 注意深い読者なら、「協議時間はたった三時間にすぎない」とすぐに見破るだろう。その通りだ。三日間の緊急理事会の実質公式協議は三時間だけであった。

 欧州三国がイランのウラン転換作業の再開を受け、緊急理事会を招集したため、理事国関係者に招集命令が出された。大使や外交官の中には夏期休暇中の者が少なくなかった。それを急遽中止して任地ウィーンに戻ってきたわけだ。

 外交官だけではない。IAEA担当記者の中にはバケーションの地から急遽駆け付けてきた者もいる。IAEA担当AP通信の敏腕記者は避暑地からとうとう戻って来なかった。新聞社の中には他国駐在の記者を派遣してきたところもあった。

 結果的には、理事会はたった三時間の協議で終わった。だから、「家族と楽しんでいた休暇をわざわざ中止してまでウィーンに戻るのではなかった」と悔いる外交官や記者がいても不思議ではない。

 理事会の休会中、外交の舞台裏ではイランを含む非同盟諸国理事国(NAM)が非公式会議を開催する一方、欧州三国も対イラン決議案の作成に奮闘していた。決議案で全会一致が可能となった段階で、理事会議長が会期を再招集、一時間余りの協議で決議案を採択したわけだ。


(O・ウィーン在住)

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sekai_no_1 at 10:32│Comments(1)TrackBack(1)ヨーロッパ 

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1. ドイツのドイツたる所以に、わが国の行く末は  [ 日本人的視点 ]   2005年08月21日 01:30
[独総選挙]「米国によるイラン軍事攻撃」が争点に浮上  【ベルリン斎藤義彦】前倒し総選挙戦が始まっているドイツで「米国によるイランの軍事攻撃」が争点に浮上している。シュレーダー首相は米国に「軍事的な選択肢を取るな」と度々批判しているが、親米の野党はこれに....

この記事へのコメント

1. Posted by しろやぎ   2005年08月23日 14:14
日本ではイランの核開発問題はほとんど注目されません。北朝鮮のことがあるからでしょう。しかし、イランの動きを見れば、核兵器の開発を意図していることは明らかです。この問題は日本にとって北朝鮮の核問題より重要なのかもしれません。

北朝鮮の核兵器は「張子の虎」で、実際に使うことはできないでしょうが、イランが核を持てば本当に使いかねません。イランがシーア派組織を通じてイスラエルに対して核攻撃をすれば、イスラエルはカーバ神殿に報復攻撃を加えるでしょう。そうなると、中東地域は大混乱に陥り、日本は石油供給を断たれてしまいます。

たとえ東京が核攻撃を受けても日本全体が滅びることはありませんが、石油供給を断たれると日本全体が地獄の苦しみに喘ぐことになるでしょう。この問題は日本人にとって非常に危険な要素を持っていると思います。

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