2005年08月27日

なぜそんなに詰め込むのか

韓国から

 韓国統計庁がこのほど発表した昨年の出産率は一・一六人で、世界最低水準であることが改めて証明された。子供を生まない理由はいろいろ指摘されるが、最も影響を及ぼしているのは何といっても教育費の負担。幼少から塾通いに奔走し、大学受験の登竜門である「修能」と呼ばれる全国共通テストでいかに高得点を上げるかに血道を上げる子供たちに掛かる教育費が家計をひどく圧迫する。だから一人、多くて二人がせいぜいだ、というのだろう。


 しかし「なぜそんなに詰め込むのか」と言いたくなる。筆者の家の周りにも学習塾はもちろんのこと絵やピアノ、水泳、テコンドーなどを教える「○○学院」という名の習い事教室が林立、子供たちを乗せた黄色塗りの送迎バスがここかしこを走っている。

 「子供は遊ぶのが仕事」なんていう言葉はどうみても通用しそうにない。「いろいろ習わせていればその中から子供の才能を発掘できる」「周りがみんな習わせているから」と親たちの動機も漠然としていて、一種の集団心理に縛られていると言ったら叱(しか)られるだろうか。

 それこそ将来の国力につながる創造性や個々の才能を伸ばしてあげるのが教育であって、塾や習い事教室に子供を追い立てても紋切り型の若者を大量生産する結果しか招かない。しかしながら「どこか狂っている」と感じながらも、既存の詰め込み式教育を断念するにはまだまだ勇気がいるのが今の韓国社会の雰囲気だ。

 それにしても「この国の指導者も、もう少し国家ビジョンを見据えた教育の在り方を見直すリーダーシップを発揮してほしい」といった声が大きくならないのが不思議だ。

(U)

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sekai_no_1 at 09:03│Comments(1)TrackBack(0)韓国・北朝鮮 

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この記事へのコメント

1. Posted by コーク   2005年08月27日 21:15
中国にやってくる外国人の数では、ずっと日本人がトップだったのですが、最近韓国に抜かれました。

ここ上海にも韓国人が多く、「○○学院」というマイクロバスをちょくちょく見かけますよ。上海でも詰め込まれているようですね(笑)。

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