2005年10月22日

ヤコブレフ氏の思い出

オーストリアから

 旧ソ連元大統領首席顧問のアレクサンドル・ヤコブレフ氏が死去した。八十一歳だった。ゴルバチョフ旧ソ連元大統領のペレストロイカ(改革)路線を文字通り支えてきたイデオロギーの中心人物だった。

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 記者は一九九二年五月、ウィーンを訪問中の同氏とホテル内で会見したことがある。この歴史的な人物は非常にプレゼンス(存在感)のある政治家だった。

 多忙な政治家と会見する時は、会見の持ち時間を聞く一方、前もって質問の数を相手側に伝えることにしている。そのマニュアルに従って、ヤコブレフ氏にも「七つの質問を準備している」と伝えてから、会見を始めた。

 会見が進むと、新たな質問が飛び出してきた。その時、ヤコブレフ氏は「あなたはこれまで七つ質問をしたよ」と唐突に指摘、八番目の質問を準備していた記者を牽制(けんせい)した。

 どの政治家がジャーナリストの質問の数を数えながら質問に応答するだろうか。「七つの質問が終わったよ」と言ったヤコブレフ氏の顔を見ながら、「この人は通常の政治家ではない」といった印象を強く受けたものだ。

 エリツィン前大統領が自伝「告白」の中でヤコブレフ氏を「非常に賢明で、先見の明がある政治家」と記述しているが、この人物評価は間違っていない。

 ちなみに、同氏は記者の八番目の質問を許し、答えてくれた。記者の最後の質問は、エリツィン大統領(当時)とゴルバチョフ氏のリーダーシップの相違点だ。ヤコブレフ氏は「ゴルバチョフ氏の使命は東西の冷戦を終結させることだった。同氏はそれを実現した。エリツィン氏はその改革を実務主義的に展開させていくことだ」と簡単明瞭(めいりょう)に返答した。

 ゴルバチョフ氏と共にソ連邦の解体、独立国家共同体(CIS)の創設など、波乱の時代を生きてきた政治家は非常にクールな頭脳の持ち主であった。

(O)

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sekai_no_1 at 08:29│Comments(2)TrackBack(1)ヨーロッパ 

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1. 真琴  [ 真琴の赤裸々日記 ]   2005年10月22日 08:49
トラバ汚しすみません。面白コラムはじめましたのでもしよかったら私のブログに遊びに来てくださいね^^

この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2005年10月23日 12:12
 こういう話大変興味あります。ぜひ、またお願いします。
2. Posted by たなべ   2006年01月05日 18:49
えをみせて

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