2005年11月17日

プライドを否定する仏暴動

フランスから

 フランスのイスラム教徒移民の約八割は、モロッコ、アルジェリア、チュニジアといった北アフリカ・マグレブ諸国出身者で占められる。特にアルジェリア独立後、独立戦争でフランス側について戦ったアルジェリア人を受け入れた歴史から、アルジェリア移民が多く、その当時からの差別が今も影を落としている。

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 ごく一部の成功者を除き、八割以上のイスラム教徒家庭は、中流以下の生活を強いられ、雇用の可能性は極端に少ない。失業率は25%から35%とみられ、一般フランス人の二・五倍から三倍といわれ、特に五年以上の長期失業者が多いのが特徴だ。若者の失業率は五割に達する。

 フランスで二週間以上続くアラブ系・アフリカ系移民の若者の暴動について、友人のチュニジア人は言う。「差別があっても、とにかく仕事さえあれば、彼らはここまで騒ぎはしないよ」と。アラブ系の人間の雇用を嫌うのは民間企業だけではない。警察や役所などの公務員雇用でも、彼らは対象から排除されている。

 ビジネスの中でサービス業の比重が増える中、民間企業はアラブ系移民を雇うことに躊躇(ちゅうちょ)する。なぜなら、一般フランス人の企業イメージが落ちると考えるからだ。白人フランス人がアラブ系・アフリカ系移民たちと接触するのは、せいぜい、家政婦を雇う時くらいで、ほとんど交流はない。

 だが、多くのフランス人が、今回の暴動をフランスの恥と感じている。フランスは多様な文化、民族を包容する能力を持つことを日ごろから自負しているからだ。暴動は、このプライドを完全に否定するものだった。特に暴動鎮圧で、日ごろ、ライバル視している英国やアメリカが、いろいろな提案をしてくれていることが、余計にプライドを傷つけている。

(A)

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sekai_no_1 at 08:54│Comments(1)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2005年11月17日 10:52
 これで傲慢なフランス人も考えを改めればいいのですが…。でもせっかく独立戦争で植民地守護側に付いて戦ってくれたのに、もう少し待遇よくしてもいいような…。
 それに単純機械労働なら、そんなにイメージも下がらないだろうに、あるいはアメリカのように倉庫内作業や、バスボーイとか…、今は職業が細分化されているので、インテリジェントな仕事は無理にしても、色々雇用の機会はあると思うけどなあ…。単一民族国家がどんなアドバイスしても聞いてはくれないでしょうけど…。

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