2006年03月17日

音の洗礼

インドから

 インドというと日本では瞑想(めいそう)文化をイメージして、静寂な社会だと思われがちだ。だがインド旅行で、異邦人がまず受ける洗礼は音の洪水だ。

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 それは早朝のヒンズー寺院やイスラムのモスクから流れてくる聖典の朗読から始まり、大声で話す人々の会話、自動車のクラクション、物売りのざわめき、犬の喧嘩(けんか)に牛や小鳥の鳴き声と朝から晩まで、絶えず音が途切れることがない。

 それこそ十億の人口規模と広大な半島国家を音で実感できると言っても過言ではない。インドでは輪廻(りんね)転生思想からか動物愛護精神が行き届いていて、公園などを歩くとリスや猿、小鳥などが実に多いのに気付く。これらの鳴き声も相当なものだが、こちらの音は動物園にでも来ていると思えばなんということもないし、むしろ心地よい音の部類に入る。

 半端ではない音の洪水に驚くのは、その音量と音質(言語)にある。というのも、ささやくとか目で知らせるとか、無言の情報量が圧倒的に乏しいインド社会では、喧騒(けんそう)型の会話が多い。国際会議における議長の力量は日本人をしゃべらせ、インド人を黙らせることだそうだ。無口な日本人の口を開かせ、いくらでも長くスピーチしようとするインド人の口をふさぐことは老練な知恵者でないと難しいというのだ。立て板に水、さらに大声でしゃべるというのは多言語、多民族社会の宿命かもしれない。いずれにしてもゼロを発見したインドながら、音の世界ではボリュームいっぱいの「有」の世界だ。

 また意味の分からない言語の壁は厚く、旅行者にずしりとのしかかるものだ。インド人にとっては心地よい映画音楽が流れていたとしても、その歌詞が理解できなければ時に「雑音」でしかなくなってしまう。むしろそれが旅行者の孤独感を深めたりもするし、さらに嫌悪感を増幅させもする。

(T)

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sekai_no_1 at 10:23│Comments(0)TrackBack(0)アジア 

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