2006年05月02日

アスパラガスと失業者

ドイツから

 長い冬を終えたドイツは四月下旬ごろからアスパラガスの季節を迎えている。この時期にしか流通しないため、貴重な野菜の一つとして人気が高い。値段も高い。ドイツ産のものであれば、一キロ当たり十ユーロ(千四百二十円)はする。国内産の野菜では破格の値段、高級素材である。それでも、ケチで有名なドイツ人でもこれには高額の出費を惜しまない。

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 太くて白いアスパラガスに、濃厚のオランダ風チーズソースを掛ける。それを大きなカツレツの上に置く食べ方が主流だ。アスパラガスを前にすれば、カツレツさえも“付け合わせ”に降格する。

 アスパラガスの収穫作業は手作業で行われ、技術を要する。農家は人手不足なため、日雇い労働者をポーランドから呼び寄せる。安い労働力が魅力的だからだ。だが、今年はドイツ人が臨時雇用者として用いられた。ドイツには五百万人もの失業者がおり、彼らに仕事環境を与えようという配慮からだ。

 シュレーダー前政権は長期失業者に仕事を半ば強要するいわゆる「一ユーロ職」の制度を導入した。文字通り、時給は一ユーロ。ただ、これまで通り失業手当や住宅手当などの手厚い社会保障を受けているから、ちょっとした小遣い稼ぎとなる。

 今年、ほとんどの人々にとって初挑戦となったアスパラガス収穫のミッションは失敗に終わった。新聞報道によると、大半が弱音を吐いてすぐに帰ってしまったという。

 ドイツの現行の制度では、安月給で仕事をするより、長期失業者の方がより多い収入を得ることは可能だ。「大変ならば仕事をしない」「仕事をしなくても生活は保障される」といった甘えが許される現状は決して健全だとは思えない。

(T)

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sekai_no_1 at 09:23│Comments(1)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2006年05月03日 08:19
 もっと詳しいアスパラガス採りのお話が聞きたいですね。できれば写真記事で…。アスパラガス採りに参加した人のインタビューとか…。

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