2006年06月19日

求められる情報の吟味

エジプトから

 先日、エジプトの情報関係者と話す機会があり、同国で一昨年から断続的に続いたシナイ半島のリゾート地を標的にした大規模テロ事件について聞くことができた。

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 驚いたのは、その結論だ。観光客狙いのイスラム教過激派グループによるテロとの一般的見方を覆し、イスラエルの情報機関モサドが仕組んだテロ事件だとした。

 もちろん客観的証拠は示さなかったが、状況証拠として挙げたのは、(1)爆弾に関する専門的知識を有している(2)組織的に統制されている(3)エジプトの祝日を狙っている(4)エジプト人の死者が多数を占めた(5)イスラエル側に逃げ帰ったパレスチナ人実行犯二人をイスラエル捜査当局は見逃している――などだ。

 問題なのは、このような観点が、エジプトのマスコミを通じて広く報道され、受け入れられていることだ。

 9・11米同時多発テロも、彼らの観点からすると、モサドと米中央情報局(CIA)が仕組んだ、イスラム教の悪印象を広めるための事件となる。

 情報を提供する側も、情報を受ける側もそれぞれ思惑を持っているので、客観的情報を得ることは実に至難の業である。マスコミの偏向報道はどこから来るのか、疑問に思っていたが、どうやら震源地はここらにありそうだ。

 先日死亡した、ヨルダン人テロリスト、ザルカウィをめぐっても、ザルカウィは米軍がでっち上げた人物だとの情報がまことしやかに流されてきた。イラクに大量破壊兵器が存在しなかったことも、正しい情報収集の困難さを見せ付ける。

 独裁国家や宗教国家などは誰も検証できないまま、情報が操作される可能性が大だ。マスコミの一大使命は正しい情報の確保だが、情報を受け取る視聴者や読者側もまた、情報の吟味が求められている。

(S)

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この記事へのコメント
> 独裁国家や宗教国家などは誰も検証できないまま、情報が操作される可能性が大だ。
アメリカも日本もそうですよ、特に戦争関連ですね。
現実にマスコミが中立の立場をとっているかどうかはともかく、偏向報道しているかもしれないと「情報を受ける側も思惑を持って」ニュースに面すると、何が本当なのかは全くわかりません。
Posted by itochan at 2006年06月19日 11:01
一般にエジプト人は政府の発表を信じていません。だから、自分たちが信じたいことを信じる。大げさに言ったり、完全否定したり。困るのは、エジプトにいる日本人がどうやって真実の情報を手に入れるかです。在エジプト日本大使館のHPでは、平素の心構えとして、「現地人とのコミュニケーションを良好にとることで、情報が直ぐに耳に入るようになります。デマ、流言飛語に惑わされないようにすることが肝要です。」先述した状況で、どうやって「流言飛語に惑わされないように」できるのかわかりません。(続く)
Posted by かもめ at 2006年06月25日 08:37
また、大使館HPには、「外務省、在エジプト日本国大使館のホームページ等で最新情報を入手するよう努めるとともに、滞在中は・・・新聞、テレビ、現地の方からの情報にも注意してください。」ともあるのですが、日本大使館は、現地の新聞が信用にたる、と思っているのでしょうか?
「重要なことは、「自分の身は自分で守る」・・・という心構えを持つことです。」とも言っていますが、エジプトの状況で、どうやってわが身を十分守れるのか、わかりません。この点を、当地にいる日本のマスコミの人が疑問を呈しないのも不思議です。マスコミの使命って何でしょうか?
Posted by かもめ at 2006年06月25日 08:38
個人的には、エジプト人は、事実と自分の想像を区別せずに話す人達だと思っています。私に言わせれば、ほとんどが流言飛語に近い。日本の常識では考えられません。情報の問題は、情報もとの真偽性だけでなく、情報を知らず知らずのうちに、日本の常識で解釈してしまうことです。こちらの方が、無意識で起こるだけに、余計危険だと思います。
Posted by かもめ at 2006年06月25日 11:14