2006年06月27日

夜のロウソク(待宵草)の話

ドイツ

 知人は1人で住んでいる。夜中まで仕事をして最終の地下鉄に飛び乗って帰るのが、ここ数年間のほぼ日課となっている。

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 その知人が「誰もいない家に足を一歩いれると、庭から待宵草が黄色い花を咲かして、『今日もご苦労さん』と挨拶してくれるんだよ。うれしいね」という。決してロマンチストとは思えない知人からその話を聞いて、待宵草に興味が引かれた。

 ドイツ語で待宵草は「Nachtkerze」だ。直訳すると、「夜のロウソク」という意味だ。広辞苑をみると、アカバナ科マツヨイグサ属の総称だ。

 夏の夜、暗い庭でロウソクのように花咲かす。宵に訪れてくる誰かを待っているように。そこから、待宵草と呼ばれたと聞く。ドイツ語の「夜のロウソク」はキリスト教の大寺院で夜も点されているロウソクから由来するのかもしれない、と独断で考えみた。

 「一時期、犬を飼おうと考えたが、止めた。日中散歩に連れ出してやれなければ、犬もかわいそうだからね、だから、手間のかからない植物でも庭に植えようと思ったのさ」

 知人は朴訥にこのように語ってから、「おれは植物のことは良く知らないから、朝や昼ではなく、夜に花を開く植物の存在を知らなかった。近所の花屋で最近、『夜のロウソク』を聞いて直ぐに買ったよ。『夜のロウソク』は夜遅くまで働いて帰ってくる人間様がいることを知っているようだね。朝になると、花をちゃんと閉じているんだ」と笑う。夜勤が続いて家に帰られない時などは、「夜のロウソク」はどうしているかなと考えることもあるという。

 一日の激しい仕事後、疲れた心身を一輪の待宵草は「癒してくれる」という。

(O)

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この記事へのコメント
 こういうほのぼのした、でも、まるで短編小説でも書けそうなコラムもいいですね。
Posted by 蚊め! at 2006年06月30日 04:03