2006年08月25日

見えと冷蔵庫

フィリピンから

 フィリピン人にとって欠かせない家電と言えば、まずテレビだ。貧しい家庭でも必ずボロボロのテレビが置いてある。娯楽を優先する国民なだけに、海外からの仕送りで買う電化製品は、テレビやステレオ、DVDプレーヤーと相場が決まっている。では次に何を買うかといえば、それは冷蔵庫だ。

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 見栄えを気にする国民性ゆえに、必要がなくてもツードアの大きなものが人気だ。以前訪問した知人宅はトタン屋根から雨漏りしそうな家だったが、部屋の一角に立派な冷蔵庫が鎮座していた。初めてもらったクリスマスボーナスで買ったと彼は自慢した。

 彼の母親も冷蔵庫で氷を作り、近所に売っているとうれしそうに話す。貧しい地域では冷蔵庫の普及率が低いから氷が売れるのだ。

 冷蔵庫の中身をのぞかせてもらうと、予想通り食料はほとんど入っていない。その日暮らしの庶民に数日分の食料を買いためる余裕はない。中にはペットボトルに入った飲料水と、商売用の氷が入っているのみだ。

 こんな小さな商売で電気代がペイできるのか疑問に思い聞いてみた。すると母親は、電気代の節約のために冷蔵庫内を照らす電球を抜き取ってあると、ささやかな省エネ対策を自慢した。だが肝心の利益に関しては「何もないよりマシ」とのこと……。フィリピン人はどちらかというと、きちっと損得勘定して商売するのが苦手だ。

 どうせ中身がガラガラなんだから、もっと小さい冷蔵庫で電気代を節約すればいいようなものだ。しかし彼らにとって冷蔵庫は「生活必需品」ではなく、あくまでも「ステータスシンボル」だから小さくては意味がない。

 利益がないに等しい氷売りも、冷蔵庫を買ってくれた息子を自慢したいだけなのかもしれない。

(F)

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sekai_no_1 at 11:26│Comments(0)TrackBack(0)アジア 

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