2006年09月01日

クリケット・パワー

インドから

 インドのIT(情報通信)都市ハイダラーバードのホテルで朝食後、ベランダから外を眺めた。男子生徒二人組が手をつないで登校している光景が目に入った。インドでは結構、男同士、女同士で手をつないで歩いている姿を目にする。

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 その男子生徒の後ろでは、小学生高学年らしき男子児童が続く。この子が手にしているのは友達の手ではなく、シャモジ型のクリケットのバットだ。野球少年ならぬ、いかにもクリケット少年といった感じの児童だ。インドやパキスタンでは英国の植民地だったことから、クリケット熱は異常なまでに高い。ちょっとした空き地があれば、近所の子供たちは決まってクリケット遊びに興じている。

 インドのお札には、アッサムやベンガル語など15言語が刻まれている。多様な言語と民族、宗教が混在し、さらにカーストで細かい階層区分があるインドでは、会社であろうと学校であろうと組織全体を束ねるのは至難の業だ。ましてや11億人の国民を擁する国家となると、それは神業に近いものだ。

 そうしたインドにとって、クリケットは救いのスポーツだ。とりわけ宿敵パキスタンチームなどとの対戦では、老若男女を問わずインド国民にナショナリズムの火を付ける。この時ばかりは、「愛国熱」がインド全土を襲う燎原(りょうげん)の火となり、カーストの溝をいとも簡単に埋め、民族や宗教の壁も乗り越えてしまう。

 それにしても、クリケットの試合時間が長いこと。高校野球の今夏の決勝戦も長かったが、クリケットの試合時間はその比ではない。1日かかって一イニングだけ、一試合終わるのに一週間というのも珍しくない。バッターがなかなかアウトにならないのだ。インド人とは、クリケットのような息の長い付き合いが肝要だ。

(T)

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sekai_no_1 at 08:48│Comments(3)TrackBack(0)アジア 

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2006年09月02日 00:48
インドは今まで、割と近いのに遠い国でした。知っているのは、ガンジーとかタゴール、東京裁判のパル判事ぐらいですが、パル判事やタゴールのような人が出る国って深い哲学があるような・・・。貴社のインドの紹介を楽しみにしています。ところで、インド人って気が長いんでしょうか?タゴールのように哲学的な人が多いんでしょうか?
2. Posted by (T)   2006年09月05日 18:35
 インド人はよく言えばおおらか、悪く言えば時間にルーズということになるのでしょうか。まあ、都市では時間に厳格になっていますし、一概に言えませんけど・・
 ガンジス川の川辺で修行しているサドゥーなどは、哲学的というか宗教的志向の中で一生を過ごしていますから、「哲人」の数はかなりな数にのぼるのではないでしょうか。
3. Posted by karu   2006年09月05日 23:52
記者のTさん、お返事ありがとうございます。恥ずかしながら、「サドゥー」という言葉、知りませんでした。次回の記事も楽しみにしております。

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