2006年09月25日

すべては信仰から

エジプトから

 イスラム教に対する批判が西側世界では増大しているようだ。イスラム教徒やアラブ人に対する見方も厳しさを増しており、米国や欧州諸国、日本に旅行したくても、二の足を踏んでしまうという話はよく聞く。穏健なイスラム教徒が、過激派の行動がもたらす不利益を被っているのだ。

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 ただ、エジプトにいて感じることは、穏健なイスラム教徒でも、過激派を批判する以上に、イスラエルや米国を批判する力の方が圧倒的に強いということだ。

 同じイスラム教徒として、あるいは、アラブ民族としての、信仰・民族の共通性が、過激派を批判する力を削(そ)いでいる。民族感情と信仰仲間意識では信仰仲間意識の方が強い。血は水よりも濃いが、信仰は血よりも濃いのだ。

 穏健なイスラム教徒でも信仰熱心は変わらない。個人差はあるものの、一日五回の礼拝と一年に一カ月の断食をやり通す力は見事なものだ。

 しかしそれ以上に驚くのは、神(アッラー)とコーランに対する絶対的信仰姿勢である。頭から信じて決して疑わない。コーランを神からの言葉と信じ、「神にできないことは何もない」として、聖書のイエスやモーゼの奇跡すらそのまま信じている。疑うことは不信仰なのだ。

「知って信じる」よりも「信じて知る」世界がここにある。

 子供から大学教授に至るまで、誰一人例外なくコーランを神の言葉と信じる世界は、中世以前のキリスト教世界を見せ付けられている気分にもなる。エジプトの学問自体が「護教学(信じる宗教の正しさを証明するための学問)」の域を出ていない様にさえ見えてくる。すべては理性からではなく信仰から出発しているからだ。

(S)

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この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2006年09月26日 23:43
 イスラム教はかなりの高等宗教だと思います。豚肉禁止以外とジハード推薦を除いて。
2. Posted by かもめ   2006年09月27日 08:27
この24日から断食月が始まりましたが、日中34度以上、脱水症状になりそうな中、日没まで飲まず食わずには完全脱帽。昔日本で、「日中食べないから、断食月は普段より食べて太るんだって〜」と友人と笑ったこともありましたが、笑うどころではないことがわかりました。強い信仰心があることは確か。でも、断食=イスラムの行実践と思って、「嘘をつかない、責任感を持つ、周囲のことを考える」などの道徳的レベルのものはおざなりになっていることもあります。最初はそういうものを考慮しない文化だと思っていたら、上記の事が、イスラムでも言われていると知って、驚きました。貧富のせい?実践すべき五行(喜捨、断食等)が定められているからこそ、それだけの信仰になる可能性はないでしょうか?記者氏の分析をお待ちしています。
3. Posted by karu   2006年09月27日 08:44
ユダヤ教でもキリスト教でも、一番大事なのは信仰ではないでしょうか。
「汝、思いを尽くし心を尽くし魂を尽くし、主なるあなたの神を信じよ」とか、「信仰と希望と愛」とか。
西欧の科学万能主義が宗教への懐疑をもたらしただろうけど、中世、西欧より優れた科学を持っていたアラブ世界一般が宗教への懐疑を持たなかったのは興味深い。まだ科学の発達がそこまで行ってなかったのかもしれないけど。
キリスト教どっぷりの中世には法王の陰謀や魔女狩りなど過激な部分が常にあった気がする。それに比べると、欧米の積年の不正義に怒って過激に走るイスラム教徒の方がずっとまともにも見えることも・・・。
4. Posted by ありんこ   2006年09月27日 09:04
昔、聖書の「心の貧しいものは幸いである。天国は彼らのものである」という句の意味は、「心に願う以外何もできないほど弱い立場の人を心の貧しい人というのだ」と、ある牧師さんから聞いて、なるほどーと思いました。
ひょっとして、アラブ社会は、多数派が「心に願う以外何もできないほど弱い立場の人」かと思いました。まず、経済的に、そして社会的に。信仰の強さが社会の不均衡の反映でなければいいのですけど。
それと、文化面として、部族社会なので、一般人は上の者に従い、上の者は下を庇護する仕組みにが根底にあるのかもしれませんね。

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