2006年10月05日

ラマダンの功罪

エジプトから

 イスラム世界の大半は、今年は九月二十三日か二十四日にラマダン(断食月)入りし、エジプトでは二十四日にラマダン入りした。エジプトに数年滞在して、ラマダン入りするたびに考えさせられることは、ラマダンの功罪だ。イスラム教徒はこの一カ月間、原則的に夜明けから日没まで完全に飲食を絶ち、神とコーランと貧民へ思いを馳(は)せ、神と預言者ムハンマドへの信仰を高め、貧民への奉仕にいそしむことになっている。

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 三〇度をかなり超える炎天下での断食は昼間だけとはいえ、体力的にかなりの負担になるはずで、国民全体の動きがどこか鈍さを増し、倦怠(けんたい)感が漂うようになる。口数も少なくなり、できるだけ動かないで済むように配慮し合っている様子がうかがえる。

 しかしその分、神を思い、人を思うならば、自己中心に生きる人に比較し、高度な精神生活を送っていると言えよう。貧民を思わない人よりも、貧民に思いを馳せる人の方が人格的であることは間違いないからだ。

 モスクやテレビを通じての説教に耳を傾け、時には感動して涙を流す生活は、心の原点に立ち返って自分を見直す好機を得ることにもなる。

 ただ、生活の時間帯を見ていると、夜明け前の午前三時ごろに食事をし、日没後の午後六時ごろに食事をし、夜の十一時前後にまた食事をするのだから、健康によくないことは確かだ。

 食生活のみならず、テレビの人気番組や有名イスラム指導者による説教、友人・親族との付き合いも夜中になる。夜明け前三時の食事を終えてから眠りに就くのだから、銀行や会社、官庁はいつもより一時間か二時間遅く始まる。ただ終わるのも早く、昼すぎには仕事を終え帰宅する。勤務時間は半減もしくは三分の一になる。ラマダンという伝統行事が続く限り、欧米世界との融和は難しそうだ。

(S)

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この記事へのコメント

1. Posted by かもめ   2006年10月13日 16:26
「昼すぎには仕事を終え帰宅する」・・・スローライフですね。家族の団欒の時間が増えそう。親戚が集ったり、人間関係が密になる・・・。楽しんでるんでしょうね。翻って日本の事情を思うと、盆に子供が孫を連れて実家に帰省という習慣はあるものの、旅費がかかる、移動が大変、長男の嫁が大変と、暗い面もかなり見てしまいます。ちょっとうらやましいかも・・・。
2. Posted by karu   2006年10月16日 17:36
健康に悪いとすれば、断食月は、病人や死者の数が増えるのでしょうか?
糖尿病など持病がある人たちは場合によっては悪化しそうですが・・・。エジプト人医師の断食に対する意見を聞いてみたいものですね。

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