2006年11月24日

ナンたってナン

インドから

 ただ小麦粉を焼いただけのチャパティよりも、発酵食品であるナンの方が味わい深い。コクといい味の深みが違う。インド料理の一品として有名な大きなわらじ形のパンであるナンは、わが国のファストフード店のメニューにも登場するようになった。

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 ナンはもともと、古代メソポタミア文明が栄えた「肥沃(ひよく)な三日月地帯」が発祥の地とされ、イラン、イラクに始まりアフガニスタンやパキスタン、インド北部に中国の新疆ウイグル自治区などユーラシア大陸の広い地域で食べられている。このナン消費地域もナン型をしている。ちょうど原初の三日月形に膨らし粉を入れた格好だ。

 現在のイラクに当たるチグリス川とユーフラテス川に挟まれたこの三日月地帯は、小麦の原産地だ。その豊かさから紀元前三千五百年ごろにメソポタミア文明が栄えた。同八千年ごろから大麦や小麦が食べられるようになり、同五、六千年にはパンが作られていたとされる。

 同じ発酵パンでも、欧州では強い火力でふっくらと焼き上げるため厚みがある。一方、燃料となる薪(まき)に恵まれない中東では、少ない火力で効率良く焼けるタンドールという独特の窯を使う方法が考案され、薄いナンの誕生となった。実にナンが誕生した背景にはエネルギー問題が絡んでいたのだ。今で言えば、燃費のいい日本車のような英知と技術の結晶といったところだ。

 ナンは小麦粉を水やイーストなどとこねて発酵させ、底に炭を焚(た)いたつぼ形の窯「タンドール」の内側に張り付け、焼いたものだ。長さは二十−三十センチ、片端を伸ばしたしずく玉形が日本では主流を占めている。

 このしずく玉の形も、一説によれば食感を高めるために考案された製法だとされる。片端を引っ張ることでナンの中にあるグルテンの繊維がスジを作り、食感を高めるのだという。

(T)

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sekai_no_1 at 10:23│Comments(2)TrackBack(0)アジア 

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2006年11月24日 17:50
長い歴史のある食べものの奥の深さを知りました。
2. Posted by 蚊め!   2006年11月24日 19:05
 なるほど、渋谷にいたころ、本格派のナン付きカリーをご馳走されたことがありますが、あの、みょうちきりんな釜はそういう意味だったんですね。
勉強になりました。
日本のお好み焼きには応用できないかなあ…。

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