2006年11月27日
文化相のスカーフ発言
エジプトから
エジプトのホスニ文化相が新聞のインタビューで、「ヘジャブ(女性が頭にかぶるスカーフ)はオールドファッションであり、われわれを古い時代に逆戻りさせる」と発言したことが波紋を呼んでいる。
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エジプトのホスニ文化相が新聞のインタビューで、「ヘジャブ(女性が頭にかぶるスカーフ)はオールドファッションであり、われわれを古い時代に逆戻りさせる」と発言したことが波紋を呼んでいる。
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同国のイスラム根本主義団体ムスリム同胞団系国会議員の猛反発を招き、「謝罪」「大臣の更迭」が叫ばれた。同文化相は「たとえ辞任する事態になったとしても決して謝罪しない」と言明、信念を貫く姿勢を示している。
一方、ハワという雑誌の女性編集長イクバル・バラカ氏は、「私はホスニ文化相の意見に賛成だ」と同文化相の勇気を称賛、「へジャブは現代女性に適さない」と語った。同誌は、ムフティ(イスラム指導者)のアリ・ゴマ師によって、発行停止処分を受けたこともある。
エジプトでは、9・11米同時多発テロ事件までは比較的自由だったヘジャブ着用が、同事件を契機に、西側世界からのイスラム教批判から防衛する必要性もあってか、大学構内や職場において、ムスリム同胞団主導のへジャブ着用推進運動が活発化、今はほとんどのイスラム教徒の女性がヘジャブを着用している。
ただ、へジャブの着用は、「女性の美は夫の前にだけ示すもので、男性を誘惑しない」ことを目的とすることから、そもそも美しくさせるものであってはならず、むしろ醜くさせるものが本来となる。自由主義者を自負する人々の中には、「へジャブは、だらしなくて、センスがなく、街を汚く、息苦しくさせる」と指摘する人もいる。
文化相は辞任に追い込まれる可能性が高まっている。宗教が生活の隅々にまで浸透している国家ならではの現象ながら、これでは言論の自由や信教の自由への保障が制限されている事実を証明するようなものでもあろう。しばらくはホットな論争が続きそうだ。
(S)
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一方、ハワという雑誌の女性編集長イクバル・バラカ氏は、「私はホスニ文化相の意見に賛成だ」と同文化相の勇気を称賛、「へジャブは現代女性に適さない」と語った。同誌は、ムフティ(イスラム指導者)のアリ・ゴマ師によって、発行停止処分を受けたこともある。
エジプトでは、9・11米同時多発テロ事件までは比較的自由だったヘジャブ着用が、同事件を契機に、西側世界からのイスラム教批判から防衛する必要性もあってか、大学構内や職場において、ムスリム同胞団主導のへジャブ着用推進運動が活発化、今はほとんどのイスラム教徒の女性がヘジャブを着用している。
ただ、へジャブの着用は、「女性の美は夫の前にだけ示すもので、男性を誘惑しない」ことを目的とすることから、そもそも美しくさせるものであってはならず、むしろ醜くさせるものが本来となる。自由主義者を自負する人々の中には、「へジャブは、だらしなくて、センスがなく、街を汚く、息苦しくさせる」と指摘する人もいる。
文化相は辞任に追い込まれる可能性が高まっている。宗教が生活の隅々にまで浸透している国家ならではの現象ながら、これでは言論の自由や信教の自由への保障が制限されている事実を証明するようなものでもあろう。しばらくはホットな論争が続きそうだ。
(S)
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この記事へのコメント
1. Posted by かもめ 2006年11月28日 08:00
自由主義者を自負する人々の中には、「へジャブは、だらしなくて、センスがなく、街を汚く、息苦しくさせる」と指摘する人もいる
個人的にはそう思いませんでした。カイロの街行く女性を見ていると、多くが、スカーフを2枚使用して色のコンビネーションを見せたり、1枚でも、服にマッチした色を選んでいて、配色がうまいなあ、と感心します。
それより最近気がついたのは、髪を覆うヘジャーブでなく、目だけ残してすっぽり顔を隠すブルカ(ウ)、しかも色は黒、を着ている若い女性を見かけるようになりました。経済的に急速な発展で、拝金主義になりかねない現在、古い価値観が崩れかけている中、イスラムの教えをより忠実に守れば、この崩壊から自分を守ってもらえる、というような、不安の裏返しではないか、という気がする時もあります。
個人的にはそう思いませんでした。カイロの街行く女性を見ていると、多くが、スカーフを2枚使用して色のコンビネーションを見せたり、1枚でも、服にマッチした色を選んでいて、配色がうまいなあ、と感心します。
それより最近気がついたのは、髪を覆うヘジャーブでなく、目だけ残してすっぽり顔を隠すブルカ(ウ)、しかも色は黒、を着ている若い女性を見かけるようになりました。経済的に急速な発展で、拝金主義になりかねない現在、古い価値観が崩れかけている中、イスラムの教えをより忠実に守れば、この崩壊から自分を守ってもらえる、というような、不安の裏返しではないか、という気がする時もあります。
2. Posted by かもめ 2006年11月28日 08:10
個人的には、ホスニ文化相の意見は、表面だけ捉えているんじゃないかと思います。この国の社会問題は根が深いし、政府を批判するだけで、人々は変わろうとしない。
かたや宗教は、1日5回の礼拝、断食、ヘジャーブ着用など、目に見える形で日常生活の随所で現れてはいますが、実際のところ、宗教的と感じられる人を見たことはまだないです。形式だけで中身が伴ってない感じ。でも、「地域社会の一員」という考えも生まれず、自分達の手で環境を変えるということもほとんど経験しない・できない人たちのよりどころとしてのイスラム教なんでしょう。宗教的じゃなく、新しい価値観を生み出せずしがみついてるだけでは、と思います。ちょうど現代日本人が、競争相手に迫られ、追い抜かれかけて、日本は優秀な国というナショナリズムに浸るように。
かたや宗教は、1日5回の礼拝、断食、ヘジャーブ着用など、目に見える形で日常生活の随所で現れてはいますが、実際のところ、宗教的と感じられる人を見たことはまだないです。形式だけで中身が伴ってない感じ。でも、「地域社会の一員」という考えも生まれず、自分達の手で環境を変えるということもほとんど経験しない・できない人たちのよりどころとしてのイスラム教なんでしょう。宗教的じゃなく、新しい価値観を生み出せずしがみついてるだけでは、と思います。ちょうど現代日本人が、競争相手に迫られ、追い抜かれかけて、日本は優秀な国というナショナリズムに浸るように。
3. Posted by S 2006年12月07日 08:34
かもめさん、コメントありがとうございます。
エジプト人、あるいは、イスラム教の実態などを、鋭く見つめておられることに敬意を表します。
エジプト人、あるいは、イスラム教の実態などを、鋭く見つめておられることに敬意を表します。
4. Posted by かもめ 2006年12月07日 23:34
Sさん、ありがとうございます。
私の考えは、自分の周りを見てるだけで、しょせんは、「印象」に過ぎません。しかし、Sさんの記事を読んで、考える機会ができるのはありがたいです。願わくば、もっと他の人、特にエジプトに住んでいる人の意見も聞きたいものですが・・・。
私の考えは、自分の周りを見てるだけで、しょせんは、「印象」に過ぎません。しかし、Sさんの記事を読んで、考える機会ができるのはありがたいです。願わくば、もっと他の人、特にエジプトに住んでいる人の意見も聞きたいものですが・・・。
5. Posted by あい 2009年04月07日 13:00
信教の自由を認めることが、狂信の強制につながることもあるので難しい問題ですね。日本のように個人の信教の自由が確立されている国では、信教はあくまで個人の内面の問題に過ぎませんが、イスラム教はイスラム社会の掟ですからね。フランスのスカーフの禁止は、自由に目覚め、スカーフを着用しないイスラム人が、イスラム狂信派から迫害に遭うということを避ける意味もあって、教育現場での非宗教を厳守したようです。
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