2006年11月30日

進まない狂犬病対策

フィリピンから

 フィリピンで犬にかまれてた日本人男性が狂犬病で死亡したことは、こちらでも大きな話題となった。だがこの国では狂犬病の感染は珍しいことではなく、一般市民の危機感は薄い。

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 この国では年間で三百人近い人々が狂犬病で死亡している。しかもその過半数は幼い子供だ。

 このような状況でも、高級住宅街などを一部を除けば犬は放し飼いが基本。都心でも餌を求めてさまよう、やせこけた野良犬をよく見掛ける。

 フィリピン人は野良犬や野良猫を極端に嫌い、餌をやることはもちろん、カワイイなどと言って頭をなでることもない。日本人から見れば冷たいように見えるが、これも狂犬病に対する自衛策なのだ。

 一方、飼われている犬でも予防接種の実施率は極めて低い。庶民にとって犬は愛玩(あいがん)用ではなく、セキュリティーガードの代わりにすぎないのだ。泥棒よけにわざと放し飼いにしている場合もあり、野良犬との接触で狂犬病に感染する飼い犬も多いと聞く。

 法律で禁止されている犬食だが、珍味としていまだに根強い人気があり、食事を通して狂犬病に感染するケースも後を絶たない。特に一部の涼しい地域では、体が温まるということで犬の肉が好まれている現状がある。

 それぞれの国にさまざまな食文化があるから、犬食を一方的に批判するつもりはないが、人の生命にかかわるとなれば話は別だ。

 今回の事件をきっかけに、飼い主に予防接種を義務付ける法律を成立させる動きも出てきているが、最大の問題は国民の認識不足だと言われている。政府がもっと狂犬病の危険性を人々にアピールする努力が必要だと感じる。

(F)

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sekai_no_1 at 08:40│Comments(3)TrackBack(0)アジア 

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この記事へのコメント

1. Posted by 蚊め!   2006年12月02日 21:21
予算不足ではないことがよく分かりました。
じゃあ、実際は狂犬病対策は進まないだろうと予想されますね。
2. Posted by karu   2006年12月03日 19:06
批判を承知で対策を考えたら・・・・
1)一度、犬を一網打尽にして、その肉を売ることで、その経費の一部に当てる。(犬権を考えると申し訳ないが)
2)国民の認識不足には、「罰金」が意外と効くのでは。
3)TVで狂犬病の問題をアピールしまくる。(TVを通じての洗脳)
経済格差が大きすぎて、政府などお上(どうせ豊かな階級)の考える対策が、庶民の実情にあっていないのでは、と思いますけど。
3. Posted by karu   2006年12月07日 23:29
12月7日付けの記事で、肉を食用として売ることが困難とわかりました。
ありがとうございます。狂犬病かどうか検査してるだけで経費かかるだろうし。
やっぱり「罰金」ですね。金が絡むと、人間真剣になるものですね。

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