2006年12月08日

クリスマスと老人

オーストリア

 毎年のことだが、十二月に入ると欧州はクリスマス雰囲気で一色となる。クリスマス市場やショッピング通りでは買い物に走る人々であふれる。主人に忠実な犬もこの季節に入ると何か落ち着かないのだろう、主人の顔を頻繁にうかがう。これも、あれも、すべてがクリスマスなのだ。

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 人々が浮かれ、クリスマスを指折り数えて待つ人々の中にあって、その中に入れない孤独な人もいる。クリスマス・シーズンに自殺する人が多いと聞くたびに、一人の老人のことを思い出す。ウィーン外国人記者クラブで事務処理やテレックスなどの整理担当をしていたシュトライトさんのことだ。

 当時七十一歳のシュトライトさんは年金生活に入ってから同クラブに再就職していた。その動機は「お金が欲しいからではない。年金で生活はできる。しかし、一人で一日中部屋にいるのが耐えられなくなったからだ」と説明してくれた。

 「若い時には何とも思わなかったが、年を取るにつれて独り暮らしが苦痛になってきた。一日中部屋でテレビを見て、一言もしゃべらない日々が続くのが怖くなった」。それで記者クラブを訪れる記者たちと雑談を交わすのが大きな楽しみとなったという。

 シュトライトさんは「不治の病にかかり、苦痛に耐えられなくなった場合を考え、医者からもらった睡眠薬を今から少しずつ蓄えているところだ。いざとなれば、その薬を全部飲んでこの世とおさらばするだけさ」と言う。

 国連記者室に移ったこともあって、シュトライトさんと会う機会がなくなって久しい。クリスマス・シーズンに入るたびに、ウィーンに赴任してまだ日が浅かった記者に親切に声を掛けてくれたシュトライトさんの顔を思い出す。

 (O)

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sekai_no_1 at 08:28│Comments(4)TrackBack(1)ヨーロッパ 

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1. クリスマスプレゼントランキング 子供  [ クリスマスプレゼントランキング 子供 ]   2006年12月17日 23:37
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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2006年12月09日 03:35
70歳過ぎの人を雇うという点はすばらしいと思いますが、そちらの教会では、クリスマスを祝う、特に身寄りのない人を招待して祝うとか、クリスマスイヴに、そんな人の家の前で聖歌を歌って、「共に祝う」という習慣はないのでしょうか?

O記者さん、ひょっこり訪ねていってさし上げては?

2. Posted by まり   2006年12月15日 18:22
現在とあるアジアの国に住んでいます。こちらは大家族制なんですが、家庭滞在なども経験してその良さがわかってきた反面、やはりプライバシーのない生活は、核家族で育ってきた自分にはちょっときついなあと思ってしまいます。
個人尊重とプライバシーの保証の裏には孤独があり、また、社会の目や大家族の利益(または年長の長老)の前には個人の意思をあらわすことができず従わなくてはならない、その反面、仕事のない者は誰かが食べさせ、困っている者は誰かが助ける、協力しあう社会。どちらも一長一短だと思いますが、その中で育ってしまうと、他に適応することはかなりむずかしいなと感じます。
今は一人暮らしが快適だけど、高齢になったら私もいずれそんなふうに感じる時がくるのだろうか(^^;。
3. Posted by 蚊め!   2006年12月16日 01:48
等価交換の法則ですね
『何かを得るためには、何かを失わなければならない』
しかし、大家族制なら自殺も少なくなるかもしれませんね。
4. Posted by 武   2007年03月05日 10:43
5 侘びしいですなぁ…
長くても10数年で現役を去る現在の私としては、正に身につまされる様な思いです。
今更ながら、洋の東西を問ない、老人に関する諸問題の深刻さを痛感致して居ります。

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