2006年12月15日

2つのゼロトレランス

米国から

 取材で、ニュージャージー州の都市部にある公立高校を訪れる機会があった。この地域は黒人の低所得者層が集まる場所で、学校自体も入り口には金属探知ゲートが設置され、学校警官が訪問者を入念にチェックする。この学校で行われたある集会に出席した。

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 六年生から九年生が全員集まって、外から招かれた講師の話を聞くのだが、講堂に入って来て、席に着くまでに約十五分。校長や生活指導の先生がとかく厳しく指導する。

 集会の終盤、騒ぎ始めた生徒らに対し、堪忍袋の緒が切れた校長が「そこの君と君。講堂から出て行きたまえ。君は出席停止三日間だ」。この発言で会場はシーンと静まり返るかと思えば、そうではなく、やじが飛んできたが、それもつかの間。講堂の私語は次第に収まった。「これが話に聞くゼロトレランスか」と感心した。

 この校長に話を聞いたのだが、荒れた環境の中で規範の知らない子供たちを指導していくのは、ほとんど「戦場の中にいるのと変わらない」とのこと。「生徒に対する共感を持つことは大切だが、嫌われても誰が責任を持っているのかをはっきり示して、指導していく姿勢が必要」と語った。

 一方、ニュージャージーでも有数の公立進学校に通う子供を持つ友人の話。授業時間の関係で朝の八時すぎにはもう、授業が始まり、何回か遅刻すると、必然的に停学措置になるという。ここは治安の安定した裕福な一帯。「戦場」でも何でもない。しかし、「子供の学力向上にはゼロトレランスが必要」なのだそうだ。

 この二つのゼロトレランス。言うことを聞かない子には時としてお灸(きゅう)をすえるのも悪くはない。

 しかし、一定以上の学力を持つ子供まで厳しい規則で縛るのは、かえって向学意欲をそぐのではとも感じるのだが……。

(N)

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2006年12月15日 22:11
私も、大人としての自分の意見をぶつけ「安易な共感」をしないのがいいかなと思います。共感・理解を見せたつもりが、「この先生扱いやすい」となめられるから(たとえ悪意はなくとも)。
ただ、日本では、虐めの加害者に「出席停止」とかいう意見が出ると、ひどい反対が起こる。このお話の出席停止になった生徒はどうするんだろう、ますます落ちこぼれでは?と思ったりもします。どうなんでしょう?
2. Posted by 蚊め!   2006年12月16日 01:42
 アメリカにはいろんな教育の形態があります。インターネット授業でも単位は取れますし、学校も数日行けば出席扱いしてくれる制度もあります。
 そんなに心配しなくていいでしょう。

イエス・キリストのたとえ話のように99匹の羊より1匹の迷える子羊を探すわけじゃないんです。
 99匹の羊を守るのが民主主義ですから…。
3. Posted by karu   2006年12月17日 22:57
蚊め!さん、情報をありがとうございます。
日本は多様性がないことがわかりました。
多様性を認めないのか、予算がないのかわかりませんが。

学校に行かなくては。の思いに縛られ、虐めのある学校に悩み、自殺する生徒がいる日本の現状を見ると、多様性をもっと取り入れてもいいのに、と思いました。

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