2007年04月03日

カンボジア移民2世の将来

フランスから

 パリのチャイナタウン、プラス・ド・イタリ近くのトルビアックに住むケア君は、台湾の銀行に就職することになった。両親はカンボジアからの政治難民だが、もともとは華僑で大陸中国や台湾にも親類が多い。ケア君は、パリの有名なビジネススクールを卒業したばかりだが、フランスでの就職を頭から考えていないという。

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 金融界でキャリアを積みたいケア君は、大学時代に日本で半年間の企業研修を受けた。フランスの大学では授業の一環として企業研修を受けるのが一般的だ。ケア君はアジアの経済大国に興味を持ち、京都の中堅企業で研修を受け、その時出会った台湾人のビジネスマンに、台湾での就職を強く勧められたという。

 ケア君の母親は、そんな一人息子を心底心配している。両親は命からがらカンボジアから逃げ、パリの華僑ネットワークに助けられ、何とか中華料理の店を持つまでに至った。パリで生まれたケア君は、他の中国系移民同様、努力家でよく勉強した。店を継いでほしい両親の願いとは裏腹に、優秀な成績で大学を卒業、上昇志向が強い。

 ベトナムやカンボジア移民の多いフランスでは、彼らが転入してきた学校は、平均して学力がアップするといわれている。アラブ系移民とは反対に勉強することで差別をはねのけ、地位を向上させようと思うからだ。金もうけへの野心を持つ者も少なくない。ケア君もそんな一人だ。

 一度はパリの銀行への就職も考えたケア君だが、小さいときからの差別の経験から自信が持てなかったという。パリの会社の面接で「あなたの名前は、ビンラディンやムハンマドではないので大丈夫」と言われたそうだが、フランス語や英語を自由に操れることで尊敬を得られる台湾の方が幸せになれると考えたらしい。

(A)

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sekai_no_1 at 08:48│Comments(1)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2007年04月03日 15:46
フランスも人種差別がしっかりあるのですね。(職のない、特にイスラム系の若者に対する以外にも)予想できることでしたが。
個人的には、「アラブ系移民とは反対に勉強することで差別をはねのけ、地位を向上させようと思うからだ」の部分が興味深かったです。
なぜ、アラブ系移民は、勉強でチャンスをつかもうとしないのか?勉強さえ十分できないような環境にあるのか? 華僑ほど勉強を重んじない文化なのか? 記者さんの分析はいかがでしょうか?

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