2007年04月26日

半旗の街

米国から

 幼少のころから、「忠誠の誓い」を暗唱し、国歌を斉唱することを普通に教えられてきた米国人にとって、国旗は特別な価値を持つ。玄関に星条旗を掲げる家も少なくないし、公官庁など自治体の建物内には必ず、国旗が州の旗と並んで立て掛けられている。それだけ、国家とその歴史に誇りを持ち、愛情を抱いているのだ。

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 記者が支局に出勤する際、大通りに出て最初に目に飛び込んでくるのが街の図書館に掲げられた大きな星条旗。図書館員の誰かが担当なのだろうか。旗が傷んでくると、すぐに真新しいものに交換されている。今月初旬、ニュージャージー州では記録的な大雨が降ったのだが、雨がやんだ翌日、乾いた旗が風を切ってはためいていた。

 この街はもともと、イタリア系やドイツ系の移民が多く住んでいたのだが、最近は、ヒスパニック系とトルコ系の住民が半々。しかし、新旧を問わず、移民であることには変わりがない。望んで米市民になったわけで、彼らの新たな祖国に対する忠誠・希望は一般市民と比べて、より深い。図書館の旗の具合とどう関係があるかは分からないが、どこかでつながっているような気がする。

 さて、最近、この旗を見ていると気が滅入ることが多い。気が付けば、いつも半旗になっているのだ。イラクで駐留している米軍兵士が死亡したことが報じられたり、フォード元大統領が死去したり、最近ではバージニア工科大学の事件があった。

 「この国はどうなるのか」。異邦人の記者すら暗澹(あんたん)たる気持ちになるのだから、国旗をこよなく愛しているこの街の市民にとって、半旗を見るたびにどのような気分になるのか、想像に難くない。春の晴れた日には、元気にはためく星条旗を見たいものだと思う。

(N)

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