2007年05月15日

ブレア時代の負の遺産

英国から

 ブレア政権がもうすぐ終わりとなる。ブレア時代の過去九年間をロンドンで過ごした筆者にとっては、赴任当初に忘れ難い体験がある。ブレア首相が鳴り物入りで推進したミレニアム・ドームを見に行って、その内容の空虚さにあまりにもあきれてしまったのだ。「まやかしのトニー(ブレア)、その典型的記念碑としてのドームに見られる空っぽな役者」といった批評が出たのももっともだと感じた。

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 ブレア首相のスピーチを聞いていると、話し上手で説得力があり、その時は何か期待を抱かせてくれる。確かに、英下院でのイラク参戦決議を求めたスピーチ(二〇〇三年三月十八日)は迫力があった。しかし、今振り返ってみると何か演出効果があり過ぎたようにも感じる。

 政府は教育、医療、治安など各政策分野で目標を掲げ、数値上の実績を誇っているものの、自分たちの生活に何か良い変化があったかと考えてみると、それほどではない。例えば治安問題だ。犯罪件数は統計上減少していることになっているが、現実には全国の市町村で非行少年たちによる暴力、ひったくりが横行している。

 要するに、数値目標達成のために管理強化するだけで中身と実体が伴っていないのだ。公平な社会の実現を唱えながらも、現実には貧富の格差の増大、教育・医療サービスの質の低下、社会風紀の乱れなどが深刻化している。週末になれば、「夜、通りには、口汚い若者たちと彼らが連れた肥満のガールフレンドたちがわめき散らし、嘔吐(おうと)する者であふれている」のは、規律や厳格さが失われた社会を象徴している。

 好調な経済も裏を返せば、異常な不動産投資や過剰消費などカネ中心のバブル社会にほかならない。労働党政権下で金融資本主義が栄華を極めているのはあまりに皮肉だ。

(G)

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sekai_no_1 at 09:10│Comments(2)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2007年05月22日 00:56
「犯罪件数は統計上減少していることになっているが、現実には全国の市町村で非行少年たちによる暴力、ひったくりが横行している」
日本でもそうですが、現実と我々が「体感」するものとが、あっていないのでしょうね。日本も犯罪が増えた、と嘆かれますが、警察白書などの統計では、ある種の暴力的犯罪は昔よりも減ったそうです。経済格差や余裕のなさが、物事を実際より否定的に見せているのか、統計の取り方に問題があるのか、犯罪があってももはや通報もしないのか、どれなのでしょうね。
2. Posted by yakutatazu   2007年08月28日 20:13
数字にこだわりすぎると、現実が見えなくなる。

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