2007年06月04日

いまだ中東に残る「名誉殺人」

エジプトから

 エジプト国営の日刊新聞アルアクバル五月四日号に、結婚後十カ月で離婚して、カイロのアインシャムスにある実家に戻ってきた妹を、彼女の兄弟二人が、妹の行為を恥ずかしく思って殺害した、との記事が掲載された。

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 実は妹が男性と付き合っていることをかぎつけた兄が妹を殺害したり、父親が娘を殺害するという事件を二カ月に一度ぐらいの頻度で目にしており、報道されない事件を含めれば、かなりの同様の悲劇が行われていると推測される。

 一方、五月二十日のCNN電子版は、イラクのバグダッドで、ヤジディ教の信者の家庭に育った十七歳のクルド人少女が、イスラム教スンニ派の男性と一緒にいたことを家族に責められ、首を腕で締め付けられた状態で、人込みの中に引きずり出され、石を投げられ、殴るけるの暴行を受けて死亡した、と報じた。他教徒との交流を不名誉と見る「名誉殺害」だが、現場にいた警察官は「名誉殺害」を阻止することはできないとの見解を示したという。

 中東地域には、これらの事件に表れているように、氏族・民族社会での伝統的価値観や、宗教上の価値観がいまだ広く残存しており、近代的な自由民主主義的価値観からは「古い時代の価値観」としかみえない部分がある。

 イスラム法(シャリア)では、女性は結婚するまでは父親か兄に、妻は夫に完全に従うことが基本的に要求されている。相互に愛情があれば、それほど美しく安全なことはないのだが、愛情が欠ければ、その主従関係は地獄の人間関係に転落せざるを得ず、数多くの女性が苦悩している。

 中東地域は、独裁制やイスラム体制を維持するための情報管理が厳しく行われている部分もあり、そのことが一層、文明の光が差し込むことを妨げている。

(S)

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この記事へのコメント
命は神が与えたもので、それを奪う権利は人間にはない、と思うのですが、イスラムにはそういう考えはないのでしょうか??

アズハルの学者で、イスラム学高等機関の一員のKhaled El Gindyという人は、上エジプトで名誉殺人が多いことについて尋ねられた時、「法律が愚か者を守らないように、イスラムは(名誉殺人をするような)無知な者の感情など考慮しない」といったそうです。偉い学者さんには悪いけれど、やっぱり、「浮いている」という気がしてなりません。

エジプト人はドラマ・映画が大好きなので、こういうテーマで啓発的(洗脳的)なドラマが作られて、殺される側の気持ち、を考えさせるドラマなんか作ってほしいと思います。時には、事実がなくても噂だけで、また、レイプの被害者でも、殺されるなんて、絶対におかしいです…。
Posted by かもめ at 2007年06月08日 16:08
今のイスラム教は、パレスチナ問題に目がいくように仕向けられ「イスラムの土地を奪う者に対する抵抗は聖戦だ」との認識が個人から国家に至るまで徹底して浸透しているため、かもめさんの言う「命は神が与えられたもので、それを奪う権利は人間にはない」との当然の考え方が薄くなっているのだと思います。
過激な解釈に基づく過激思想を指導できないイスラム指導者に根本的問題があると私は思うのですが。抵抗には自爆しなくたって民主的な方法がいくらでもあるはずですが。若者をオルグしている、過激イスラム指導者も直接的問題ですね。コーランを客観的に見つめる視点が欠落している閉鎖的体質を転換する必要があると思うのですが。
Posted by S at 2007年06月18日 22:01