2007年07月21日

国防相らしくない国防相

オーストリアから

 過去、多くの国防相と会見してきたが、国の安全に責任を持つ国防相には一般的にいい印象を受けてきた。しかし、何事にも必ず例外があることを今度も思い知らされた。党の路線を重視するあまり、自国の安保問題を軽視する国防相がいることを知ったからだ。

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 オーストリアで二〇〇〇年、国民党・自由党連立政権が戦闘機購入を決定し、翌年七月には欧州航空宇宙・防衛大手EADS社のユーロ戦闘機二十四機の購入を決めた(後に十八機に減少)。ところが野党・社民党が昨年十月の総選挙で第一党に復帰し、今年一月国民党との連立政権が発足すると、社民党主導政権はユーロ戦闘機購入契約の破棄を表明し、社民党出身のダラボス氏が国防相に就任した。新国防相は直ちにEADS社と契約破棄の交渉を開始した。

 国防相とEADS社は最終的には購入機数を十八機から十五機に削減する一方、戦闘機を最先端技術の機種から古い機種に変更することで合意した。

 その直後の記者会見ではダラボス国防相は「購入戦闘機数を三機減らすことに成功した。これでわが国は三億七千万ユーロの税金を節約できる」と繰り返し強調する一方、十五機の戦闘機で空域の安全確保が可能か、古い戦闘機で問題はないか、などの国民の素朴な疑問には何も答えずに終わった。繰り返すが、「節約」うんぬんの発言は国庫に責任を持つ財務相ではなく、国の安全を担う国防相から出たものなのだ。

 オーストリアは中立主義を国是とする小国だ。その国に最先端の戦闘機が必要かどうかは議論を呼ぶ問題だが、国の防衛を預かる閣僚にもかかわらず、党利に走り、国家の安保問題を軽視するダラボス国防相の姿勢は批判されて当然だろう。

(O)

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sekai_no_1 at 08:26│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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