2007年10月16日

野心の扱い方

フランスから

 今年六月に誕生したフランスのサルコジ政権は別名、貪欲(どんよく)内閣とも言われている。その意味は、サルコジ大統領はじめ内閣を構成するほとんどの閣僚が、野心家たちで構成されているからだ。特に半数を占める七人の女性閣僚には、アラブ系移民からスーパービジネスウーマンまで、野心と実力でのし上がってきた女性が目立つ。

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 サルコジ大統領との離婚が秒読みといわれるセシリア夫人も、元はモデルやビジネスをこなし、最初の結婚はフランスで有名なテレビ司会者、マルタン氏とだった。サルコジ氏自身、ハンガリー移民の父親、ユダヤ系ギリシャ人の母親というマイノリティーの両親を持ち、貧困とエリートコースを行けなかった悲哀を味わいながら、実力でのし上がった。

 自分の幸福は自分でつかみ取るというサルコジ大統領の人生観に共鳴する閣僚たちが大統領を支え、国民の半数以上がサルコジ氏に投票して、今の政権は誕生した。だが実は、この現象は過去のフランスでは考えられない現象だ。というのも、フランス人にとって「野心」とか「大志」という言葉は、違和感を持たれる言葉だったからだ。

 長年、階層社会を維持し、大革命の後でさえ、階層性を保ってきたフランスでは、階層間の移動は、まれだった。それにかつて国教でもあったカトリックの教えでは、生まれ育った環境は、神から与えられた運命であり、それを感謝して受け入れるのが正しい生き方とされ、野心を持つ人間は蔑(さげす)まれ、ごく一部の上流階級にだけ大志が許された過去がある。

 そんな風潮を吹き飛ばしたのがサルコジ大統領だったが、この新現象に疑問を呈する伝統的保守派は今も存在する。運命を受け入れるには、あまりにも過酷な移民たちの台頭が今、フランスの伝統を根底から揺り動かしているようにも見える。

(A)

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sekai_no_1 at 09:24│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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