2007年10月23日

信じ難いインフレ

ロシアから

 ロシア経済はここ八年間、年平均7%の成長を続けている。経常収支も財政収支も毎年大幅な黒字。既に対外債務はなく、外貨準備は中国・日本に次いで世界三位。要するに、ロシアは経済の優等生になっている。

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 唯一国民を痛め付けているのが、高いインフレ率。昨年は9%だったとされるが、公式統計を信じる国民はいない。

 「並のホテルが一泊六万円」とか、「レストランで煎茶(せんちゃ)を頼むと一杯千五百円」とか特殊ケースは、この際置いておこう。

 公式統計によると、牛乳は九月の一カ月間で9・2%値上がりした。これだけでもものすごいことだが、筆者の隣人ナターシャさんは、「政府の発表は大ウソよ!」と怒る。

 彼女によると、牛乳一リットルはここ一カ月で、二十ルーブル(百円)から三十ルーブル(百五十円)に50%(!)値上がりした。(近所のスーパー店員も、「その通り」と認めた)

 また、公式統計によると、植物油は九月期、13・5%値上がりした。ナターシャさんは、「冗談じゃないわ!」と激怒する。彼女によると、植物油一リットルは、ここ一カ月で三十ルーブル(百五十円)が六十ルーブル(三百円)になった。

 こういうハイパーインフレは、月一万五千円で暮らす年金受給者の生活を直撃する。彼らは、一九九〇年代の民営化時、アパート所有者になったから何とか生きていける。しかし、エンゲル係数は限りなく100%に近い。

 とはいえ、「ロシアでは貧富の差が原因で革命が起こる」という説には説得力がない。なぜか?

 年金生活者に革命を起こす元気はないのだ。彼らはひたすら耐えるしかない。「元労働者の天国」は今、「究極の弱肉強食国家」になった。

(Y)

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sekai_no_1 at 09:31│Comments(0)TrackBack(0)ロシア 

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