2007年11月27日

国民は変わったのか

フランスから

 世界にも報道されたフランスの交通ストライキは、労組が政府の公務員年金改革案を何とか受け入れる形で収束した。これから労組は政府に、さまざまな条件を突き付け、存在をアピールする構えだが、十二年前のゼネストを経験した国民にとっては、時代の大きな変化を実感するものだった。

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 十二年前、同じ改革案を出した政府に対して、公共交通機関の労組は三週間に及ぶゼネストを決行した。休みを何よりも好むフランス人は通常、ストライキともなると会社を休み、自宅でゆっくりするパターンが多く見受けられたが、三週間ともなると、そうもいかず、ホテルや会社近くの友人宅に泊まりながら通勤する姿を多く見掛けた。

 地下鉄の駅では、来ない電車を待つ若者がごみ箱をけり上げて怒りをあらわにする姿が見掛けられた。多くの国民が、「いいかげんにしろよ」と言いたげに見えた。石炭をくべる蒸気機関車時代の機関士の重労働を考慮に入れた特別年金制度の維持は、説得力を持たなくなった。

 石炭とは無縁な、フランスが誇る超高速列車TGVの運転士は、平均給与をはるかに超える高給なのに、五十歳で定年が認められ、高額の年金を手にすることができる制度は、国民には理解できなくなっていた。公務員は給料が安いので、さまざまな優遇措置が必要という考えは、一昔前のものになってしまったということだ。

 フランス国民の多くが、終身雇用で多くの権益を持つ公務員になりたがるといわれてきたが、サルコジ大統領は、既得権益を一つ一つ取り上げていく構えだ。官民平等を支持する国民は増えているが、この国民の意識の変化は革命的とも言えるもので、本当なのか、昔を知る者にとっては懐疑的に映らざるを得ない。

(A)

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sekai_no_1 at 08:31│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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