2008年01月11日

おふくろの味

米国から

 「どうしてあんなものが恋しいか、よく分からなかったけど、とにかくあの味のことを考えるとたまらなくなってね……」。「そのとき」のことを思い出すと、友人のジョージ君は照れくさそうに笑う。日本が死ぬほど好きなジョージ君は、大学卒業後(専攻は東洋文化)、日本の企業に就職。三十歳になってすぐ、付き合っている日本人の彼女と結婚することにした。

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 「そのとき」は、日本に住む彼女の両親を訪ねたときに起こった。ちょっと太めとはいえ、日本語を流暢(りゅうちょう)にしゃべる好男子。礼儀作法は、日本の若者よりもわきまえており、誰でも知っている大企業に勤めているジョージ君を下に置くわけはない。「日本が好き」ということで気を利かせたご両親は連日、豪華な和食を食卓に並べた。「好きな和食が並んだんだから、嫌なわけはなかったんだけど、だんだんと食欲がなくなっていったんだ」

 夜、布団の中に入ると、頭に浮かんでくるのは、箱入りのチョコレートアイスクリームやバターがたっぷりかかったポップコーンなどのジャンクフード。はたまたトッピングが山ほど乗った特大のピザ。揚げ句の果てに、パテを二枚も三枚も重ねた不飽和脂肪酸たっぷりのハンバーガーなど、およそ健康に良くないものが無性に恋しくなったのだ。

 「結局、彼女にも内緒で、駅前のハンバーガー店にハンバーガーを買いに行った」。しかし、「至福の時だったね。一口ほお張ったあのときのハンバーガーの味は今でも忘れられないよ」。

 この話を聞いたのは、ジョージ君とニューヨークの和食レストランに入っていたとき。はしを上手に使いながらしゃべる彼の言葉を半信半疑で聞いていたが、語るジョージ君の目は、何と言うか、遠い故郷を思い浮かべるように輝いていたのは確かだった。

(N)

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この記事へのコメント

1. Posted by MIK   2008年01月16日 19:06
私たちが外国に行って和食が食べたくなるのと同じ心理ですね

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