2008年03月29日
反響呼ぶ歴史教科書
韓国から
民族主義に基づいた近・現代史観が主流になってきた韓国学界に一石を投じる歴史教科書の代案版が発売され、反響を呼んでいる。「韓民族の自尊心」を傷つけはしまいかと、日本人である記者が心配してしまうほどドライな視点を取り入れている。
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民族主義に基づいた近・現代史観が主流になってきた韓国学界に一石を投じる歴史教科書の代案版が発売され、反響を呼んでいる。「韓民族の自尊心」を傷つけはしまいかと、日本人である記者が心配してしまうほどドライな視点を取り入れている。
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目立つのは日本植民地時代の記述だ。収奪と抵抗という二分法的なとらえ方だった従来の教科書に対し、経済開発や近代国家への準備にも積極的に言及している。「侵略を美化するな」「まるで日本右翼教科書の韓国版」と反発の声が上がるのも無理はない。
韓国が批判し続ける従軍慰安婦問題については「日本の軍需工場に動員された挺身(ていしん)隊とは区別する必要がある」と突き放す部分もある。執筆に加わったある大学教授の研究室に行ってみると、「慰安婦の数が少な過ぎるじゃないか」と抗議の電話がかかってきた。別の執筆者は、教え子から「もう私の先生ではありません」と“通告”されたという。
だが、民族主義史観を脱却したいという意欲は、もう少し理解されてもいいのではないか。韓国の歴史、特に近・現代史といえば、周辺国家に翻弄(ほんろう)された「恨み」もあるが、一方で多大な影響を受けた「恩恵」もある。どちらに焦点を当てるかで記述が変わってくるが、恨みを取れば当然、その裏返しの民族主義が頭をもたげてこよう。
民族主義では右も左もない韓国で、この種の本を出すのは勇気が要ることだっただろうが、実はこの本にはもう一つ執筆動機がある。北朝鮮を包容する左派史観の是正だ。
「一九九〇年代に発生した三百万人の餓死者は、北朝鮮の政治・経済体制の矛盾によってもたらされたものだった」
左派政権の十年、我慢し続けた保守派たちの拍手喝采(かっさい)が聞こえてきそうだ。
(U)
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韓国が批判し続ける従軍慰安婦問題については「日本の軍需工場に動員された挺身(ていしん)隊とは区別する必要がある」と突き放す部分もある。執筆に加わったある大学教授の研究室に行ってみると、「慰安婦の数が少な過ぎるじゃないか」と抗議の電話がかかってきた。別の執筆者は、教え子から「もう私の先生ではありません」と“通告”されたという。
だが、民族主義史観を脱却したいという意欲は、もう少し理解されてもいいのではないか。韓国の歴史、特に近・現代史といえば、周辺国家に翻弄(ほんろう)された「恨み」もあるが、一方で多大な影響を受けた「恩恵」もある。どちらに焦点を当てるかで記述が変わってくるが、恨みを取れば当然、その裏返しの民族主義が頭をもたげてこよう。
民族主義では右も左もない韓国で、この種の本を出すのは勇気が要ることだっただろうが、実はこの本にはもう一つ執筆動機がある。北朝鮮を包容する左派史観の是正だ。
「一九九〇年代に発生した三百万人の餓死者は、北朝鮮の政治・経済体制の矛盾によってもたらされたものだった」
左派政権の十年、我慢し続けた保守派たちの拍手喝采(かっさい)が聞こえてきそうだ。
(U)
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