2008年05月09日

必要な道徳意識の高揚

エジプトにて

 私が初めてエジプトを訪れたのは一九九七年八月末で、十年以上も前のことだ。当時は、カイロ市はじめ全土にごみが散乱、トイレも不衛生だった。タクシーは床が抜け、ドアが閉まらず、窓のガラスが動かないなど、危険極まりないと思ったものだ。車両の多くは、数十年も前のイタリア製小型車で、エンコしては道端で修理、もしくは助けを求めていた。

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 しかしこの十年で、エジプトは見た目には大いに発展した。古い車が消え、新車が目立つようになった。九七年九月のルクソール事件(邦人十人を含む六十二人が死亡)で観光客は激減したがその後、数年で事件以前の水準に回復。その後はうなぎ上りに増え、今や年間一千万人が訪れる観光大国となった。これは治安が安定したことが大きい。さらに石油と天然ガスの輸出も増加、米国からの継続的経済支援などがエジプトの経済を発展させた。

 ただ、立派なショッピング・モールや小ぎれいなレストラン、商店、ガソリンスタンド、新車などが増えても、中で働くエジプト人の質は変わらず、おしゃべりに夢中で、客の嫌がることを平気でする無神経さはそのままだ。最近、衛生不良で多くの有名レストランや工場が営業停止になった。車中からごみを平気で投げ捨てる習性も変わらない。エジプトの現在の課題は、幼児から社員に至るまでの「教育」にありそうだ。特に、道徳意識の高揚が望まれる。

(S・カイロ在住)

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2008年05月10日 00:39
学校教育はどうなっているのでしょうね。
2. Posted by S   2008年05月12日 17:55
学校教育の問題点として現地の人々が不平を漏らしているのは、教師の給与が低いせいか、教師は教室を放り投げて自習にさせ、塾や家庭教師をして稼いでいるとのことです。どの程度の%であるかはわかりませんが、この事実は多くの人々から聞きます。授業料が高いが、教育がしっかりしている私立学校を選ぶ両親も多い、ということです。
3. Posted by karu   2008年05月13日 22:32
追加説明、ありがとうございます。となると、家庭教育も危ないのかな…。
4. Posted by S   2008年05月22日 02:48
家庭教育の実態は良くわかりませんが、イスラム教育はしっかりしているみたいで、神への信仰や礼拝の仕方、奉仕、貧しい人への喜捨などは、大したものだと感心します。貧しい人に小銭を手渡す行為も良く目にします。ただ、車窓からごみを投げ捨てたり、興味のあることは、相手の心や迷惑を考えずにどこまでも追求したり、うそをついたり、知らないことをさも知っているように確信を持って言ったりなど、常識や道徳がないというのか、疲れ、ストレスが溜まることが多々あります。正直や謙遜、謙虚、他人に迷惑をかけない、人の意見を聞くなど基本的な美徳は教育されているようには見えません。勿論、個人差はありますが。上記の感想は総じてです。

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