2008年05月13日

ダーチャ離れ

ロシアから

 娯楽があまりなかったソ連時代、ロシア人の楽しみはダーチャだった。ダーチャは「郊外の別荘」と訳されるが、軽井沢の豪華な別荘をイメージしてはならない。ロシアにも最近は、豪邸ダーチャもある。しかし、一般人のダーチャは違う。

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 トイレは外にあり水洗でない。シャワーも外にある。固定電話はない。お湯も出ない。つまり、インフラがまったく整備されていないのだ。

 それでも、四十代以上のロシア人は、ダーチャが大好きだ。そこで何をするのか。小さな農園でキュウリ、トマト、ピーマン、キャベツなどを育てる。森で木の実やキノコを集める。自然に癒やされながら、無農薬食品を自分で作ってしまうのだ。

 ところが、ソ連崩壊後に成人した三十代半ば未満の層は、ダーチャ嫌いが多い。理由はさまざまだ。

 キリル君(25)「渋滞がいつもひどい。(モスクワ郊外のダーチャまで)四十分くらいの距離なのに、五時間かかる。バカらしいよ」

 ナターシャさん(30)「スーパーで野菜を買った方が安いわ。自分で農業するなんて、手間暇考えると、非効率的よね」

 レーナさん(33)「毎日朝から晩まで働いて疲れているのに、土日にダーチャまで行くパワーはないわ」

 アリョーシャ君(18)「ダーチャではネットもゲームもできない。ディスコもない。ひたすら退屈なんだ」

 退職後、年に半年はダーチャで暮らし、農業に励むニコライさん(75)は「ロシア人は豊かになってきたが、何か大切なことを失いつつある」と嘆く。

 秋になると、ニコライさんの農園には、野菜が山ほどできる。自宅で食べ、冬用の漬物にしてもまだ90%以上余る。彼はそれを知人・友人に無料で配り、喜ばれている。

(Y)

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sekai_no_1 at 08:15│Comments(1)TrackBack(0)ロシア 

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2008年05月13日 22:37
十年もすればまた田舎への回帰が始まるかもしれませんね。

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