2008年05月27日

引退後の人生設計

フランスから

 友人のニコラは五十四歳、今、六十歳の定年を楽しみに待っている。彼は労働者階級の家に生まれたので、十七歳から働き始め、既に三十七年間働いている。

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 彼は大手保険会社のパリ郊外フォンテンブロー支店の支店長を務める。今まで七つの支店で支店長をしていて、支店長歴は二十年になる。「今なら、大学出じゃないと支店長になるのは難しいけれど、僕の時代はなれた。ただ、これ以上のポジションには絶対行けないけどね」という。

 高級スポーツカーを乗り回し、南仏とノルマンディーにアパートを所有し、人に貸している。堅実な性格でまじめに働き、コツコツお金を貯めてきた。この春には日本に二週間、旅行にも行った。あと三年働けば、年金満額受給の権利を受け取れる。

 最近、フランス政府は、四十年の年金掛け金支払い年数を四十一年に延長する案を出し、労組の猛反対に遭っている。ニコラにしてみれば、六十歳まで働けば、四十三年掛け金を払うことになるので心配はしていないという。「皮肉なもので、十七歳から働いていることで余裕ができた」と彼は言う。

 高学歴化が進み、教育は長期化する一方で、フランスでは大学を卒業しても就職先のない若者が増えている。彼らが職を見つけて四十一年間年金の掛け金を支払うには、確実に六十歳を超えてしまう。平均寿命も延びた分だけ、働く年数も延びるのは当たり前と言うエコノミストもいるが、働くのが嫌いなフランス人には将来が暗く見える。

 フランスでは「生涯現役」とか「働けるうちは働き続けたい」などと言う人は皆無に近い。ニコラは今、南仏の支社への転勤願を出している。南仏でボランティア活動をしながら第二の人生を送る計画を立てている彼は、引退後を見据え、確実に準備を進めているようだ。

(A)

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sekai_no_1 at 08:02│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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