2008年06月06日

おもてなし冷房

タイから

 十六年前、初めてバンコクのドンムアン国際空港に降り立った時、ムッとくる空気そのものの熱さに驚いたことがある。それは真夏、毛布に体ごとすっぽり包まれたような感触だった。

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 水道の蛇口を開いて再び、その暑さが半端でないことを悟った。日本だといくら真夏日でも、水道の水は冷たくて海水浴の後、水道水で体を洗うのは少々きつい。だが、バンコクの水道は大地そのものが焼けているようなものだから、いくら蛇口を開けっ放しにしていても熱い水から温かい水に変わるだけだ。

 暑気だと風呂は、別に沸かさなくても、そのまま水を入れれば十分だ。

 そのうちこの暑さが気に入るようになった。家にいるときは、パンツ一枚に短パン、上はTシャツ一枚だけの三点セットで十分だ。

 ただいくら暑さが気に入ったからといって、これを口にすると、タイ人からは大抵、奇人扱いされた。熱帯では「冷たい空気」こそが良いことになっている。海外旅行にしても、タイ一番の人気国は山に万年雪を頂いたスイスだ。

 そうした国柄だから、タイ国鉄の一等車、二等車や高速バスだと、例外なく室内はギンギンに冷え切った温度に設定してある。だから、Tシャツ一枚なんかでは、とてもじゃないけど寒くて寝られたものではない。タイ人もやはり寒いらしく、ウインドブレーカーなどを着込んで乗っている。

 初めから二四、五度ぐらいに温度設定していれば、快適な旅を楽しめるのに、わざわざ冷凍車のように冷やすのは、冷たさに対する哲学が違うのだ。

 国鉄もバス会社も見栄で、冷房を強くしているのではない。むしろ、冷たい空気こそは「最高のおもてなし」として、冷房を目いっぱい利かせているのだ。

(T)

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sekai_no_1 at 08:28│Comments(1)TrackBack(0)アジア 

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この記事へのコメント

1. Posted by hiro   2008年06月10日 13:14
フィリピンの長距離バスも同じ。コートを持って乗らないと、夜行バスでは風邪を引く。官庁のお偉いさんの個室も、ぎんぎん冷房。本人はジャケット羽織ってます。アホじゃないかと思うくらい。

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