2008年06月07日

映画が訴える脱北者の悲劇

韓国から

 今月、韓国で封切りされる脱北者の映画「クロッシング」の試写を見た。

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 結核にかかり病床に伏す妻のために、薬と食糧を求めて中国に渡った主人公が、ひょんなきっかけから中国潜伏中だった他の脱北者たちによる外国大使館駆け込み計画に巻き込まれた。韓国入りしたが、再び家族の元に戻る道が断たれ、間もなく妻の悲報が届く。父親との再会のため脱北した一人息子も、その後、経由地のモンゴルで力尽き果てる……。

 二〇〇二年に北京のスペイン大使館で実際に起きた駆け込み事件がモデル。ソウルでの試写会では、主人公役で日本にも韓流ドラマなどを通じ知られる人気俳優のチャ・インピョ氏があいさつ。

 台本を読んだ際のチャ氏の心境は「かわいそう」「恥ずかしい」の二つだったそうだ。後者は、すぐ隣で起きている同胞の惨状を韓国人の大人として知らず、むしろ外国人の方が北朝鮮の人権問題に強い関心を示していることへの自責の念だ。

 同席した監督は、政治性の強い題材を扱うことにためらいがあったと認めた。しかし、スタッフたちが「韓国動乱直後の話じゃないのか」と話すその無知に驚き、制作を決断したという。残念なことだが、北朝鮮の人権問題に対する韓国国民の関心は低く、映画ではそんな韓国人の姿も描き出されている。

 だが、こうした映画が与える影響は少なくないかもしれない。チャ氏自身、「今までは知らなかったから“免罪符”になる。でも、これ(北の惨状)を知って黙っていたら罪人なんじゃないでしょうか」と語っている。

 日本での上映もそう遠くないだろうから、一度、ご覧になることをお薦めする。

(U)

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sekai_no_1 at 08:35│Comments(0)TrackBack(0)韓国・北朝鮮 

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