2008年06月17日

責任重い管理職

フランスから

 日本とフランスの違いで最も目に付くものは何かと聞かれると、在仏の多くの日系企業駐在員は「労働観でしょう」と答える。フランス人が「働くより、人生を楽しむ国民」といわれて久しいが、実は管理職に限って言えば、フランスでも、労働時間は長いし、仕事もハードだ。

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 フランスは世界最短の週労働三十五時間制を導入している国だが、管理職には適用されていない。管理職が早朝七時から仕事を開始し、夜九時、十時までオフィスにいることも珍しいとは言えない。友人のルイスは中堅企業の管理職だが、朝は六時に家を出て、帰宅は通常、九時以降だ。

 だが、一般職に比べ、管理職の給与は高い。それも大きな差がある。例えば、三十八歳のルイスの給与は、秘書として働く妻の給与の三・五倍に達する。妻は今の会社に二十五年間務めているが、給与はほとんど変化していない。今後、給与が上がる可能性もない。

 ルイスは、エンジニア系のグラン・ゼコール(エリート養成校)卒で、新卒で最初に受け取った給与が、既に高卒の妻の二・五倍だった。

 フランスでは管理職は「知力で人を管理する」比重が大きい。そのため、航空会社の社長が、銀行の頭取になったりすることも、しばしば起きる。業界通であることは関係ないという考え方だ。経験よりも理性を信じるあたりは、フランスらしいと言える。ただ、高給を保証される管理職の責任は非常に重いし、仕事も集中する。

 ルイスは「仕事に失敗したら、失敗者の烙印(らくいん)を押されてしまうから、気を付けないとね」と、その重圧を感じているようだ。安い給料で労働時間の縛りのない日本の「名ばかり管理職」も問題だが、学歴がなければ、実績を上げても昇進できないフランスのシステムもどうかと思うこともある。

(A)

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sekai_no_1 at 08:30│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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