2008年07月16日

スカウト商法

米国から

 「テレビや映画の子役を探しているので登録しませんか」――。

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 こんな言葉を掛けられて「オーディション」に出掛ける親子連れは多い。記者の子供もかつて声を掛けられた。映画産業のメッカ、ハリウッドがある南カリフォルニアだから、そういう機会が多いのは確かだろうが、ほとんどの場合、エージェントの金もうけに利用されるだけだ。

 オーディションに指定された場所に行くと、そこでは将来のわが子がテレビや映画に出ることを夢見る親たちが列をなしている。順番が来てビデオや写真を撮った後、テレビや映画に出た「子役スター」たちの紹介がある。親たちはますます期待に胸を膨らます。

 エージェント会社は、最後に、「コマーシャルのような短いものでもやはり演技力やカメラの前でどう振る舞ったらよいかといった指導が必要です。本格的に出演を希望するのでしたら、ぜひ当エージェントで行っている演技のクラスを取ってください」と本題に入る。

 夢を持たせてクラス売り込みのセールストークをするのだから、効果はかなりある。高い月謝を払うクラスの生徒が増えれば、エージェントにはかなりの収入になる。

 エージェントの仕事はどれだけ人材をプールしているかで力量が測られる。しかし、スターになれるのは俳優の中でも何十万人に一人というのが実情。クラスに通い始めた親子が、「子役スター」は遠い夢だと気付くのはしばらくたってからのことだ。この時間差の間にエージェントは十分なカネを稼ぐことになる。

(M)

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