2009年02月05日

良心的な電車内の売買

エジプトにて

 カイロの地下鉄を利用する際に、時々出くわすのが、車内で大声を張り上げながら販売する商人たちだ。彼らが売る品物は、ティッシュやのど飴、財布、化粧品、靴下、裁縫セット、暦など一ポンド(約二十円)前後で買えるような多種多様の日用雑貨類なのだが、先日売られていたのは、主要なアラビア語の英語表現についての冊子、すなわち簡易のアラビア語・英語辞典だった。ちょうど買おうと思っていた品物とか、なるほどこれは有用と思える商品なら買うことになる。

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 面白いのはその販売の仕方で、彼らは車内に入って大声で商品や値段について説明をした後、乗客一人ひとりの膝の上に、商品をポンポンと放り投げ、車内の端から端まで歩いた後、回収し始めるのだ。乗客も慣れたもので、回収されるまでの間に商品を調べて、買うかどうかを判断する。

 実際に買う人は、一車両内でせいぜい二、三人だが、私はこういう商売が成り立っていること自体に感心してしまう。なぜなら商人は忙しく立ち回っているし、別の車両にまで行って商品を配布しているのだから、ごまかして商品を隠したり、知らんぷりして下車することもできるからだ。もちろん、大衆が見ているのだから、簡単にはできないが、どさくさにまぎれたふりをしてごまかすこともできないことはない。でも、こういう商売が成り立っているのは、悪い人が極端に少ないことを物語っているのだろう。

 人間の良心とイスラム教やキリスト教の教えの浸透が、この商売を下支えしているのかもしれない、と考えてしまった。裕福では決してない市民たちだが、大概は道徳的に健全な人々なのだ。ほっとする反面、悪い人の光景を見てしまいそうな不安な心もどこかにある。

(S・カイロ在住)

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この記事へのコメント

1. Posted by karu   2009年02月13日 22:16
宗教と、他人の目、でしょうか。

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