2009年02月19日

男の隠れ家ウルムチ

中国から

 老後を中国西部の新疆ウルムチで過ごしている邦人T氏を訪ねたことがある。ウルムチにいる日本人は同氏を含め、日本料理店経営者や留学生など四人しかいない。上海在住邦人は約五万五千人。

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 T氏は、新疆教育大学の前に月一万円で2LDKのアパートを借りて、日本語教室を開いていた。生徒は青い目をした新疆ウイグル族の学生たちだ。日本語教室は有料だが、生徒の中には金銭的余裕がなく支払いが滞っている人もいる。だが、T氏は特別に催促するわけでもなく淡々と続けている。なぜ終の棲家をウルムチに定めたのか、聞いた。「砂漠が好きなんだ」、答えは至って素朴なものだった。だが、なぜ砂漠にそれほど心を引き付けられるのか、よく分からない。歴史に秘められた匈奴とモンゴロイドの関係などT氏の話は尽きないが、なかなか、なるほどと膝を叩くほどの核心には思えなかったからだ。

 だが、居間に飾られている油絵を見て、一人納得した。T氏の趣味は油絵だ。題材はいろいろだが、砂漠の絵が結構な数を占めていた。その中に、砂漠の虚空に裸婦を描いたものがあった。無機質な砂漠だが、その鋭利でかつ滑らかな稜線は、裸婦像と不思議に調和していた。西域は仏典を求めた三蔵法師が歩き、シルクをらくだの背に乗せた隊商が西を目指したところだが、そのものが放つ美を求めて男の隠れ家にする人もいる。

(T)

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sekai_no_1 at 09:18│Comments(0)TrackBack(0)アジア 

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