2009年03月04日

人種のサラダボウル

米国から

 「米国は人種の坩堝」。そんなことを幼少から聞いてきた人は、米国は「いろいろな人種、民族が共に暮らす国」というイメージを抱きがちだ。ニューヨークに赴任して六年がたとうとしているが、身をもって感じるのは、確かにいろいろな人種・民族が住んでいるものの、「共に」暮らすのではなく、「別々に」暮らしているということだ。

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 記者が住む街は、もともとイタリア系やドイツ系移民が入ってきて、街づくりの基礎を築いた。その後、ウクライナやポーランド系の人々が多く住み始め、それぞれが定着し、現代に至るのだが、新興勢力として、トルコやレバノン、パレスチナなど中東系、またメキシコやベネズエラなど中南米からの移民が幅を利かせ始めている。

 こう書くと、「人種の坩堝」そのものなのだが、実体は全く違う。まずイタリア系やドイツ系移民の子孫は既に四代から五代目。米国人としてのアイデンティティーの方が強いし、よりステータスの高い住宅地に移ってしまっている。また、そのほかの人々を見ても、出自民族・国家ごとに集まる傾向がある。

 さまざまな人種が集まっているものの、表面的な交わりしかない。いわば「サラダボウル的住み分け状態」というのが今の米国を的確に表現している。

 お互いが敵対する背景・宗教を持ち、知れば知るほど、違和感や優劣の感情を覚える。「ならば、あえて近くなりたくはない」というのが、違う出自の移民同士の関係が疎遠になる原因の一つだ。

(N)

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