2009年10月05日

「勝共」は死語だが…

韓国から

 朝鮮王朝の正宮として600年の歴史を持つソウルの観光名所、景福宮の一角に、1970年代の韓国の町並みが再現され、大勢の人でにぎわった。韓国最大の名節「秋夕」にちなんだもので、子供たちに「お父さん、お母さんがまだ小さかった時は、こうだったんだよ」と教える教材のような役割も果たしている。

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 建物の外壁には、そのころ上映された映画のポスターと共にビラも張られていたが、その中にハングルで「スンゴントンイル(勝共統一)」と書かれたものがあった。「共産主義の北朝鮮に勝って、韓国を中心にした南北統一を果たそう」という一種のスローガンだが、南北の軍事対立が生々しかった当時は、国民の大半が当たり前に受け入れていた文句だ。

 それから30余年たった現在、韓国で「勝共」あるいは「反共」は死語に近い。「漢江の奇跡」と呼ばれる高度成長で、北朝鮮に対する圧倒的な軍事的、経済的優位に立った自信感が、「北朝鮮に攻められる」という恐怖感を大きく後退させたのが何よりも大きい。

 北朝鮮も今年4月に改正した憲法の全文から「共産主義」という言葉を削除したことが最近、明らかになった。ついに「武装解除か」と思いきや、これは「米国という搾取階級が存在する以上、搾取階級と非搾取階級の区別がない共産主義は存在しづらい」と金正日総書記が語ったのが理由だと、北朝鮮の記者が韓国の記者に解説してくれたという話だが。

 首脳会談や各種の交流、経済協力が行われ、南北融和ムードも広がったが、民族同士が戦った韓国動乱の記憶が残り、今なお兵役が義務付けられている韓国にとって、北朝鮮の理念攻勢と軍事的脅威は現実の問題だ。「スンゴン…」の張り紙を見た子供たちに今の韓国の親がどう教えているのか、ちょっと気になった。

(U)

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sekai_no_1 at 13:32│Comments(0)TrackBack(0)韓国・北朝鮮 

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