2010年05月20日

デルタ地帯の町タンタの人情

エジプトから

 エジプトを南から北に流れるナイル川は、首都カイロを起点に多数の支流に分かれてデルタ地帯を形成する。そのほぼ中央に中部デルタ最大の商業都市タンタがある。綿花工業でも有名だが、「エジプト美人の産地」ルベイヤ県の県庁所在地としても知られる。

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 5月初旬に友人の招待を受け当地を訪問、地方都市の良さを満喫した。何よりも驚いたのは、友人の甥が居住する住居だ。外観はそうでもないが、一歩足を踏み入れると、まるでベルサイユ宮殿の中にでも入ったような豪華さだ。天井は高く、絵画が描かれ、応接セットは宮殿そのもの。テーブル、花瓶、テーブルクロスの美しさに目を見張った。

 テレビやCDが完備され、美しいメロディーが流れる中、話が弾む。新婚の家庭とはいえ、これほどきれいに内装された部屋を見たのは初めてだ。

 英国から来たある友人が、「エジプト人は、自分の家はきれいにするのに、どうして外はこんなに汚くするのか」とぼやいていたが、外はゴミとほこりだらけのビルからは、到底想像できない美しさだ。

 タンタの友人が準備してくれた心尽くしの食事もさることながら、お土産として準備されたのは、オリーブ油を惜しげもなく使ったフティールというパンと、自家製のチーズ。素朴で、もてなしの心がこもる逸品だった。

 人情の豊かな地方都市の実態に触れ、心温まる思いに包まれた一日だった。

(S)

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