2010年05月31日

動じない島民

韓国から

 哨戒艦沈没事件があった海域のすぐそばに浮かぶ白(令へんに羽)島へ行ってきた。仁川からフェリーに乗って4時間余り、距離にして200キロ以上あり、地理的に北朝鮮の陸地がすぐ迫っている。上陸の瞬間、緊張感に包まれたのは、事件の余韻が残っていたせいだろう。

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 李明博大統領は「これ以上挑発したら自衛権を行使する」とテレビで語り、一方の北朝鮮では戦闘態勢命令が下されたというニュースが伝えられ、きな臭いムードも漂っていた。

 だが、島の様子は至って平穏である。行方不明者の捜索や沈没した船体を引き揚げる作業で忙しかった海域は、漁船数隻の姿が見えるだけで、あんな惨事が起きたのがウソのように静かだ。地方選挙を目前に控え、各党の遊説カーがここかしこを走っていた。

 日中、農作業や漁に追われていた人たちも、日が暮れると繁華街に繰り出し、酒を飲んだりカラオケを楽しんだりしている。ソウルと何ら変わらない光景だ。

 島民に話を聞くと、十中八九が「別に怖くないがね」と平然としたものだ。

 植木仕事の手を休めていた初老の男性には「北のことなんか気にして生活する人はここではいないさ」と言われた。「ここで気にしなければ、どこで気にするのだろうか」と言いたくなるところだが、予想していた「北への恐怖心」は、ついに聞けずじまいだった。

 夕食を済ませ、民宿に向かおうとしたとき、日本の実家から電話がかかってきた。「そっちは大丈夫なの?心配で眠れないのよ」という母親に「そっちで心配するほど大変じゃないから……」と答え、はたと気が付いた。

 どうも、日本で考えるほど韓国では北を怖がっていないし、本土で考えるほど島では北を怖がっていない、ということらしい……。北の脅威と隣り合わせで生きるには、このくらい度胸が座っていないと無理?

(U)

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sekai_no_1 at 14:45│Comments(0)TrackBack(0)韓国・北朝鮮 

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