2010年09月20日

やっかいなロマ問題

フランスから

 フランス政府が放浪の民、ロマの追放を強化したのは今年8月のこと。国内外の人権擁護団体や国連など、さまざまな組織や個人がフランス政府を非難している。だが、フランス人への世論調査では、国外追放を支持する人は6割を超える。

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 ロマは、ジプシーとも呼ばれ、定住地を持たず、主にルーマニアやブルガリアなどから西ヨーロッパに広がった。日本人観光客が目にするのはパリの観光名所で、子供を抱えて物ごいする母親たち、ローマの名所で観光客に襲い掛かる少女たちの姿が多いが、いずれも決していいイメージを持たれない。

 フランスでは7月に仏中部の静かな町で、ロマ約50人が町を襲撃し、それを契機に、それまでも進めていたロマ集団送還を一機に加速させたかたちだ。

 滞在許可証を持たない不法滞在者は即座に本国送還で、生活準備金などを渡してルーマニアなどに送り返される。キャンプ場は警察が完全排除している。

 実は、ロマの中には、不法滞在をやめ、滞在許可証を取得し、フランス語を覚え、社会保障を受けている者もいる。ロマのフランスへの同化を支援する市民団体は、十数年前から、ロマの子供たちに読み書きを教え、社会への同化を手助けしている。

 もともと国籍も持たない人が多いロマだが、決して反社会的な存在と断言することはできない。ロマがユダヤ人同様、第2次世界大戦でナチス・ドイツによって強制収容所に送られた史実は、知らない人も多いが、厳しい迫害と差別の中で生き延びてきたことは否定できない。

 長い歴史を生き延びてきたロマたちに理解を示すのか、それとも害あって益なしとして国外に放り出すのか、簡単ではない。それにフランスが支給する生活準備金目当てに再入国するロマも後を絶たない。

 フランスだけでなく、他の欧州諸国にとっても頭の痛い問題だ。

(A)

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sekai_no_1 at 13:30│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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