2010年12月02日

犠牲祭とイスラムの原点

エジプトから

 イスラム世界で最大の祭事である犠牲祭は、イスラム暦最後の月(12月)の10日に行われる。今年は11月16日。国民の90%がイスラム教徒であるエジプトでも、早朝から各家庭や親族ごとに、羊、牛、ラクダなどをいけにえとしてささげ、犠牲祭の意味を確認し合った。

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 犠牲祭は、ユダヤ教とキリスト教、イスラム教が聖典とする旧約聖書に出現する信仰の祖アブラハムが愛児イサク(イスラム教ではアラブ民族の祖イシマエルになっている)を神の命令によって、モリヤ山上で犠牲にささげようとしたことに由来する。愛児を殺してまでも神の命令に従おうとしたアブラハムの信仰を見届けた神は、天使を送ってイサクの殺害を止めさせ、代わりに一頭の雄羊を犠牲にささげさせた。犠牲祭はアブラハム親子の神に対する絶対的信仰を讃えたものだ。

 それゆえ当日は、ビルの屋上や車のガレージ、石油スタンドなどで、家族や親族総出で、生きた動物たちの喉を切り、血を放出させて殺すのだ。

 平面的に見れば、一面血の海にさせるこの“祭り”は実に“残酷で野蛮”とも言えるのだが、その本質を探れば、愛児を殺してまでも神の命令に従うことをよしとする厳しい信仰姿勢への賛美がある。

 イスラム教は、それを最大のお祭りにしているのだから、イスラム教の根源的価値観は命を超えている。宗教は大小の差異はあれ基本的に命を超えるものだが、イスラム教の犠牲祭はそれを最もストレートに表現しているとも言えそうだ。

(S)

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