2011年07月04日

ある老画家の願い

韓国から

 先日、ソウルの支局に見知らぬ老年の韓国人男性が訪ねてきた。男性は東洋画家で、なんでも30数年前、上野で開かれた日韓交流公募展に出展した絵が、日本美術協会賞を受賞したそうで、当時、わが社の文化部記者が男性をインタビューして書いた記事を見せながら「古い縁になる」と自己紹介した。

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 男性はあいさつを終えると、大きなキャンバスバッグから1枚の水彩画を取り出した。画題は「平和統一念願図」。韓国の国花であるムクゲの木と北朝鮮の国花モクレンの木が、紫と白の花を咲かせながら重なり合い、香りに誘われた虫たちが飛び交う。その下に広がる大平原には、1本の鉄道がはるか彼方まで続いている…。どうやら分断された韓半島の平和統一に思いをはせた作品のようだった。

 絵は10年前、初の南北首脳会談が実現した翌年に描かれ、原画は現在、ソウル市内のカトリック教会に飾られているという。北朝鮮の体制は嫌いだが、昨今の厳しさを増す南北関係を憂い、「じっとしていられず」、複製画や説明資料を準備した。

 男性の話を聞きながら、ある種の懐かしさを覚えていた。南北首脳の初会談は確かに劇的に“演出”された。日本にいて在日韓国・朝鮮人の和合を取材したが、「もう統一はすぐそこまで来ている」と、興奮気味に語っていたのが思い出される。今の南北関係を考えると隔世の感を禁じ得ない。

 「絵のこと、記事にしてもらえたら」と男性から言われた。うわべだけの南北融和はこりごりだが、純粋に平和統一を願う人たちの思いは重く受け止めたい。支局を出る男性を見送りながら、この絵を無碍にできないゾ、と思った。

(U)

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sekai_no_1 at 13:21│Comments(0)TrackBack(0)韓国・北朝鮮 

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