2012年03月22日

薄れる日本の存在感

エジプトから

 日本学術振興会が年に十数回、懇話会や発表会をカイロで開催、在留邦人やエジプト人に好評を博している。

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 3月中旬の懇話会講師にカイロ大学日本語学科の学科長を長年務めたハムザ・イサム氏が招かれ、「今後の両国の文化交流」と題したスピーチを行った。その中で、韓国や中国はとても熱心にエジプトとの文化交流を進めているのに、日本は最近元気がなくなったとの感想を述べた。

 その一例として、韓国や中国のテレビはアラビア語の字幕付きで無料で見られるのに、日本の番組は有料で、しかも字幕なしでしか見られないと指摘した。子供たちはテレビで聞いた韓国の歌などを自然に口ずさんでいるという。

 記者の助手は日本語を学んでいるが、「不思議だ。日本は大国なのに、どうして韓国や中国に後れているの」と嘆いている。その“嘆息”を聞くたびに、どこか寂しく肩身の狭い思いをしてしまう。

 イサム氏によると、日本語学科への入学申込者数が、今までは年間300人もあり、25人に絞るのに苦労したのに、今年はわずか10人に減少、成績など募集基準を下げてやっと20人になったという。その一方で中国語への人気が高まっているという。

 大使館では最近、福島県いわき市のハワイアンダンシングチームや陸前高田市など、大震災で壊滅的損害を受けた町の人々が「祭り」を通じて復興に立ち上がっている姿を収録した映画を上映した。

 大災害を機に芽生えた復興精神を世界中に発進し、元気な日本を見せてほしいという願いは、世界に散る邦人たちの共通の感情ではないだろうか。
(S)

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