2012年04月30日

治安と移民の暗い影

フランスから

 仏大統領選挙でも関心が高い治安問題が、フランス社会に暗い影を投げ掛けている。フランス北部ルーベに住む友人は、かつて同地域の地域議会議員だった。彼は右派政党・国民戦線に所属していたが、今は関係を絶っている。

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 ルーべでは今回の大統領選挙第1回投票で、国民戦線のルペン候補の得票率が大きく伸びた地区の一つだ。ルーベと聞けば、フランス人なら誰でも知っている北アフリカ系移民が多く住む地区で、治安は決していいとは言えない。

 聞けば、ルペン候補に投票した多くの市民は、この2、3年の間に暴徒に襲われ、暴行を受けたり、恐喝されたりした経験があるという。ルーベの友人は「この町に住むフランス人は、政府になんとかしてほしいと思っているけど、ルペン以外に期待できる政治家が見当たらないんだ」と言っている。

 今年3月、南仏トゥールーズ周辺で仏兵士3人が殺害される事件があった。その数日後にはユダヤ人学校が襲われ、死者を出した。犯人は北アフリカ系移民の若者で、アフガンやパキスタンでイスラム過激派の訓練キャンプにいたこともある人物だった。

 この犯人はローンウルフのテロリストだった。ローンウルフとは一匹狼という意味で、組織の中で行動するのではなく、一人でテロを実行する新しいかたちのテロリストだ。彼らの多くは、フランスで生まれ、差別と貧困の中で育ち、少年時代に非行に走り、少年矯正施設などにいた者も少なくない。

 そんな彼らに国際テロ組織が接触し、根本主義を吹き込み、あとはテロを個人で実行するというスタイルだ。

 今回の事件ではユダヤ人学校が襲撃されたが、フランスではユダヤ人には金持ちが多く、学校への子供の送り迎えに現れる親の多くが、高級車で学校に乗り付けてくる。逆にアラブ移民の家庭は貧しい。

 そんな格差もテロの温床となっている。9・11でアラブ系移民のイメージは傷ついた。今もそのイメージは回復していない。

(A)

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sekai_no_1 at 14:08│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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