2012年10月02日

カタールからの申し出

フランスから

 中東のカタールといえば、今や24時間、アラビア語と英国でニュースを流し続ける衛星テレビ局アルジャジーラの本拠地として有名だ。そのカタールがフランスの街の再開発に資金を提供しようという話が持ち上がり、両国共同の財団発足が進んでいる。

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 先進国として名を馳せたヨーロッパの国々も、今や中東や中国の資金援助を必要とする時代が来たのかという感も否めない話だが、フランスの世論は大きく二つに分かれている。その原因は、カタールが提供する資金のほとんどがパリ郊外の貧困地区の再開発に充てられようとしているからだ。

 パリ郊外の貧困地区といえば、アラブ系移民が集中して住む低家賃住宅(HLM)が立ち並ぶエリアであることは誰でもが知っている。つまり、カタールはパリ郊外で厳しい生活環境を強いられている在仏アラブ人を結果として支援するということになる。

 実際、HLMのアパートはボロボロの建物も多く、エレベーターは故障し、玄関のドアがまともに閉まらないとか、周囲の街灯も点かないなど、環境は厳しい。しかし、その原因の一端は、失業して時間を持て余す若者たちが、たびたび暴力事件を起こし、公共施設に損害を与えている現実もある。

 劣化した建物に投資すること自体はありがたい話なのだが、それがアラブ系移民が集中している地区ということから、フランスでは極右政党やフランスのイスラム教化を懸念する人々が猛烈に反対している。これはフランスに住んだ人間にしか分からない感覚だが、アラブ系移民による街の荒廃は、人種差別的な意識を排除したとしても否定できない事実がある。同時に戒律を守るイスラム教徒の増加に反比例して、この国を支えてきたカトリック教徒が激減している事実もある。

 カタールの投資でイスラム教徒が勢力を伸ばすことを懸念する声は少なくないが、それより信教の自由を尊重し、移民を気遣い、同時にカトリック教会の影響力が弱体化していることを懸念する方が先のようにも思われる。

(A)

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sekai_no_1 at 12:54│Comments(0)TrackBack(0)ヨーロッパ 

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