2016年04月07日

寛容なイスラム復活を

エジプトから

 イスラム教の聖典コーランに対するイスラム教徒の信仰心はこんなにも強いのかと思わされることは多々あるが、教祖の預言者ムハンマドに対する尊敬心も、ここまで強いのかと思わされる出来事が、最近エジプトであった。

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 エジプト政府は3月13日、シェリフ・イスマイル首相が、「法律に違反したら、預言者ムハンマドでも投獄する」と発言したアハメド・ジンド法相を解任した、と発表した。

 仏のあるメディアは、法相の発言に対し、国民は強い反発を示していたと書いたが、英国のあるメディアは、エジプトの複数の判事が法相の解任を批判したと報じた。

 イスラム教では、「神だけが絶対者」であり、ムハンマドは「(食べ物を求めて)市場を歩く、普通の人間である」ことを強調、「イエスも預言者であって、普通の人間だ」として、人間が神格化されたり、偶像化されることを厳しく禁じてきた。

 普通の人間なら、失敗することも間違うこともあり得るとの考えが一般的だが、いつの間にかムハンマドだけは違うというふうになってきたのだろうか。

 「イスラム法を守ることがイスラム教徒の務めだ」という考えが、「イスラム法を守らないのはイスラム教徒ではないから殺害しても構わない」と硬化、信仰と行動の一致を強く求めるタクフィール主義や、コーランとハディース(ムハンマドの言行録)だけがイスラム法の法源となるべきだとして、それ以外の慣習や時代的進歩から来る価値観などを一切認めないムルジア派が、イスラム過激派の源流とされており、言葉や文字に固執する信仰が多くの悲劇を生んでいる。寛容で穏健なイスラム教の復活が望まれる。

(S)

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